東京外為:ドル軟調、米景気懸念加速で下値不安が増幅-104円台後半

東京外国為替市場ではドル・円相場が1ド ル=104円台後半を中心に、2005年5月6日以来のドル安・円高水準で推移し た。米景気の先行き懸念を背景にドルの下値不安が強まるなか、米株に続いて 日本株が下落幅を拡大する展開となったことから、リスク回避に伴う円の買い 戻しにも圧力がかかった。

みずほコーポレート銀行国際為替部の竪智司参事役は、米国の経済指標で 生産と消費に続いて雇用も目に見えて数字が悪くなってきていることなどから、 ドル安のリスクが高まってきていると指摘。「来週は引き続き重要な指標が発 表されるため、ドル急落の可能性もある」として、ドル・円相場は2005年1月 のドル安値101円台後半がそろそろ視野に入ってくるとみている。

日本株安がドル売り・円買い後押し

この日のドル・円相場は、米景気の先行き懸念を背景にドル売りが加速し た前日の海外市場の流れを引き継ぎ、105円台前半で東京時間早朝の取引を開始。 ドルは朝方に付けた105円38銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)を 上値に、じりじりと水準を切り下げ、午前8時半前後には105円ちょうどを割 り込んだ。

月末の需給要因などから、ドルの下値では国内輸入企業などの買いが散見 され、やや下落スピードが鈍る場面もあったが、日本株の大幅下落を受けて、 円買いの動きも加わり、一時は104円58銭と、05年5月6日以来、約2年10 カ月ぶりのドル安値を更新した。午後の取引にかけては、海外市場の動向を警 戒して、一段の取引には慎重な姿勢が支配的となり104円台後半でのもみ合い が続いた。

リスクを伴う投資先の代表格とされる株式相場の下落を受けて、外為市場 ではリスク選好的な高金利通貨買い・円売りを巻き戻す動きからクロス・円(ド ル以外の通貨と円の取引)で円買いが進みやすくなる。このため、ユーロ・円 相場は一時1ユーロ=158円66銭と、22日以来、1週間ぶりの水準までユーロ 安・円高が進行。午後の取引では159円台前半でもみ合った。

米FRB議長発言、GDP

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は27日から2日間にわ たって上下院で議会証言し、景気の下振れリスクに対峙する姿勢を表明。28日 には上院銀行住宅都市委員会での証言後の質疑応答で、「恐らく一部の銀行は 破たんするだろう。たとえば、価格が下落している地域の不動産に重点的に投 資し、圧力を受けている小規模で、多くの場合、新規の銀行だ」と発言してい る。

新光証券の林秀毅チーフエコノミストは、バーナンキ議長が景気の下振れ リスクに言及したことで、経済指標の悪化に対してより神経質な状況になった と指摘。「米経済がマイナス成長に落ち込む可能性が真剣に心配され始めるな か、来週は雇用統計など重要指標の発表を控えて、一段の景気下振れリスクが 示されれば、ドルが水準を切り下げる展開になりやすい」とみている。

28日に発表された昨年第4四半期(10-12月)の米国内総生産(GDP、 季節調整済み)改定値は前期比年率で0.6%の増加と、ブルームバーグ・ニュー スがまとめた市場予想の0.8%増を下回り、第3四半期の4.9%増から大幅な成 長の減速が確認された。同期の個人消費も1.9%増と、速報値の2%から下方修 正された。

また、23日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)も37万3000 件と、ハリケーン「カトリーナ」の被害が影響した05年10月以来の高水準に 増加。景気の減速傾向が鮮明ななかで、足元の雇用情勢の悪化が示されたうえ、 信用不安が高まる可能性も警戒され、リセッション(景気後退)入りが意識さ れやすくなっている。

そうしたなか、この日の米国時間には、1月の個人消費支出(PCE)が 発表される。市場の予想では前月比0.2%増と、昨年12月と同程度の伸びにと どまる見通し。また、個人所得は同0.2%増と、12月の0.5%増から大幅な鈍化 が見込まれている。

一方で、同統計の一項目であるPCEコア価格指数は、前月比0.3%上昇と、 4カ月ぶりの高水準が予想されている。予想通りとなれば、「物価の上昇によ って、個人消費がますます悪化するとの見方が生じやすく、リセッション懸念 が増幅する可能性もある」(林氏)ことから、海外市場でのドル一段安が警戒 される。

ユーロ圏景気底堅い、当局のけん制に警戒感も

半面、フランスの消費者信頼感指数が弱めの内容になったものの、ドイツ の失業率が1992年11月以来約15年ぶりの水準に低下したほか、ユーロ圏の小 売業景気指数(季節調整済み)が5カ月ぶりに拡大・縮小の分かれ目となる50 を上回るなど、ユーロ圏景気の底堅さが示されている。

欧米間の景況感格差が鮮明となっていることから、ユーロ高・ドル安圧力 は根強い。三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、 「米国の大幅利下げによって生じた世界の余剰資金が高金利通貨や商品市況に 流入するなかで、為替市場では金利差相場が鮮明になっている」として、米金 利の先安観を背景にドル安が加速しやすいとみている。

ただ、ユーロ圏財務相会合の議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相 兼財務相が28日、記者団に対して「為替レートの過度のボラティリティーは望 ましくない。金融市場は短期間で敏速に反応しすぎているようだ」と発言する など、当局からは急速なユーロ高進行をけん制する姿勢もみられ、ユーロの上 昇スピードがやや鈍る可能性が残る。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.5229ドルと、1999 年1月にユーロが発足して以来のユーロ高・ドル安値を付けたが、この日の東 京時間では1.51ドル台後半で推移した。

--共同取材:柿崎元子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama、Hidenori Yamanaka

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