日本株(終了)円高嫌気し輸出中心に続落、信用収縮も-月足久々陽転

2月最終日となった東京株式相場は大幅 続落。GDP(国内総生産)改定値の下振れなどから米国の景気後退懸念が高 まったほか、為替相場の急速な円高進行を嫌気し、トヨタ自動車やソニーなど 輸出関連株中心に売られた。米地方銀行の破たんに警戒感が広がり、信用収縮 を懸念した動きから銀行株も下げ、不動産株は東証1部の業種別下落率で1位。

安田投信投資顧問の茶野宏ファンド運用部長によると、「米景気失速懸念 と円高が重なり、買い材料に乏しい中、3月期末をにらんで需給の綱引き的な 相場展開となっている」という。

日経平均株価の終値は前日比322円49銭(2.3%)安の1万3603円2銭、 TOPIXは28.82ポイント(2.1%)安の1324.28。東証1部の売買高は概算 で19億7982万株、売買代金は同2兆3628億円。値上がり銘柄数は247、値下 がり銘柄数は1410。

東証業種別33指数は29業種が下げ、TOPIXの下落寄与度率が大きい のは銀行、電気機器、輸送用機器、不動産、機械、卸売、証券・商品先物取引。

104円台突入、トヨタ25日線割り込む

米国景気悪化と円高による企業業績への先行き不安が根強く、幅広い業種 で売りが継続した。米国では07年10-12月期の実質GDP(季節調整済み、 年率)改定値が前期比年率0.6%増加と、ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミストの予想中央値(0.8%増)を下回った。経済指標の悪化を受け てドルが下落し、東京時間では対ドルで104円58銭まで円高が進行。約2年 10カ月ぶりの円高水準となった。売買代金首位のトヨタ自動車が終値で25日 移動平均を約1カ月ぶりに割り込むなど、輸出関連株は下げが大きくなった。

大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長は、「米 国で利下げ打ち止め感や企業業績への期待が高まるかどうかは、4-6月期半 ばまでかかりそう」と予測。円高の要因となっているドル安状況が解消するに は、まだ時間が必要だと見ている。一方、28日のニューヨーク原油先物相場は 一時バレル当たり102.97ドルまで上昇し、取引中の最高値を更新。金融緩和 下での原油高によるインフレ進行は、「嫌な感じを受ける」(いちよし投資顧 問の秋野充成運用部長)とされた。

需給面では、来週からの3月相場入りで日本株をショート(売り)してい た向きが買い戻す一方、ロング(買い)筋による売りの動きも出ているという。 東京証券取引所が28日に発表した2月第3週(18-22日)の投資主体別売買 動向(東証・大証・名証3市場の1・2部合計)によると、信託銀行は07年 10月4週以来、週間ベースでは約4カ月ぶりに売り越した。4月以降の相場の 先高観が見えにくい中、1月22日安値までの下落過程で買った年金が3月末 の決算対策のための益出しを行っていることが日経平均1万4000円からの上 値を抑えているとの見方がある。

金融、不動産の下げきつい

TOPIXの下落寄与度で銀行が首位となったほか、不動産も東証1部業 種別下落率1位となるなど、信用収縮懸念の高まりで金融・不動産も売られた。 バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は28日、不動産に重点的に 投資している一部地方銀行の破たんの可能性について発言。米国で金融株が大 幅安となった流れを受けた。

中でも三菱地所が前日比で4%超の下落率となるなど不動産は下げがきつ い。クレディ・スイス証券は29日付リポートで、FRBが発表した米1月時 点の商業系不動産向けの銀行貸出態度が、1990年の調査開始以来、過去最悪の 引き締め態度になっているなどと指摘。相対的に流動性がある日本で、海外投 資家による不動産の換金売りが加速する可能性について言及している。

また、エクイティ・ファンイナンスを発表したダヴィンチ・アドバイザー ズが、大証ヘラクレス市場で値幅制限いっぱいのストップ安となった。不動産 ファンド向け融資の減退を背景として、不動産ファンド関連企業の資金ニーズ の強さを裏付けて投資家心理に陰を落とした。パシフィックマネジメント、ケ ネディクス、クリードなどは東証1部値下がり率上位に並んだ。

月足は5カ月ぶりの陽線

もっとも、日経平均は午前の大幅安下でも25日移動平均1万3523円手前 で踏みとどまり、2月の月足はかろうじて5カ月ぶりの陽線となった。4カ月 連続の陰線は、バブル崩壊後安値となった03年春以降で過去2回出現し、い ずれも5カ月目には陽線となっていた。「月足陽線はチャート的には下げ止ま りのサイン」(安田投信の茶野氏)との声も聞かれた。

イオンクレが急落、大平洋金は4連騰

個別に材料が出た銘柄では、業績予想を引き下げたイオンクレジットサー ビスが急落。東京電力子会社のフィットネスクラブを買収したコナミは急反落 となった。KBC証券が格下げしたナナオは東証1部値下がり率1位で、ゴー ルドマン・サックス証券が投資判断を引き下げたOSGも大幅安。

半面、ニッケル市況高騰で業績期待の高まった大平洋金属は売買を伴って 4連騰、メリルリンチ日本証券が投資判断を引き上げたKDDIは続伸。三井 住友フィナンシャルグループ傘下4社での統合が引き続き評価されたセントラ ルファイナンスとオーエムシーカードは急伸した。大和総研が新規に「買い」 の格付けをしたKIMOTOは52週高値を更新、転換社債型新株予約権付社 債の発行と自社株買いの実施を決議したJFEホールディングスは小幅高。

新興市場も下げ、セブン銀が堅調発進

国内新興市場もそろって下落した。東証1部市場の大幅安で投資家心理が 悪化し、時価総額上位銘柄を中心に安くなるものが増えた。ジャスダック指数 の終値は前日比1.35ポイント(2%)安の65.02、東証マザーズ指数は13.01 ポイント(1.8%)安の695.33と3日ぶり反落。大証ヘラクレス指数は23.13 ポイント(2.2%)安の1043.60と5日ぶりに下落した。

個別では、増資による需給懸念からダヴィンチ・アドバイザーズがストッ プ安。業績予想を下方修正したフォトニクスが急落し、07年12月期最終損益 が一転して赤字となったもようだと発表したデザインエクスチェンジはストッ プ安。半面、原油高でクリーンエネルギーとして見直された日本風力開発は上 場来高値。セブン&アイ・ホールディングス傘下で、きょうジャスダックに上 場したセブン銀行は、売り出し価格14万円を20%上回る16万8000円の初値 をつけ、その後も一段高。

--共同取材:近藤 雅岐     Editor:Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 長谷川 敏郎 Toshiro Hasegawa +81-3-3201-8361 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 東京 Nicolas Johnson +81-3-3201-8343 nicojohnson@bloomberg.net

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