空港施設投資の外資規制は当面見送り-安全保障対応は年内に結論(3)

国土交通省は29日午前、検討を進めてい た空港関連企業へ出資する外資などを規制する法律案について、今国会提出を 見送ると発表した。一定の規制は必要との認識に変わりないが、政府・与党内 からの批判を受けて抜本的に見直し、来年の通常国会にあらためて関連法案の 提出を目指す。冬柴鉄三国交相は同日午前、福田康夫首相や町村信孝官房長官 に、こうした方針を伝えた。

国交省の発表資料によると、安全保障の脅威への対応について、内外資本 を含めて幅広く議論する必要があり、行為規制や資本規制など、空港関連会社 への規制のあり方について、諸外国や他の関係法令なども参考に検討し、年内 のできるだけ早い時期に結論を得るとしている。

成田民営化の関連法整備は1年遅れ

国交省航空局の田村明比古総務課長は同日、今後、省内で新たな検討体制 を設けるとともに、省庁横断的な検討体制もつくると説明した。新たな規制案 では外資規制に固執せず、あらゆる手段を検討する。外資規制などを除いた空 港関連法改正案は、来週中に閣議決定、今国会提出の見通しだ。

また、成田空港の完全民営化に関する部分も法案から完全に削除され、来 年の通常国会で成立を目指すため、この法整備は1年遅れることになる。国交 省は2010年の成田空港の平行滑走路延伸などを踏まえて上場を計画していた。

成田国際空港会社の森中小三郎社長は28日の定例会見で、株式上場につ いて予定通り、「09年秋以降には上場できるように準備している」と述べてい る。国交省の田村課長は「それに間に合うと断言することは難しいが、次期通 常国会への法案提出に向けて、できるだけ早く作業を進めたい」と語った。

国交省案は安全保障に偏り過ぎていた

自民党・航空対策特別委員長の太田誠一氏は12日収録のブルームバーグ テレビジョンのインタビューで、空港関連企業へ出資する外資を3分の1未満 とする方向で2月中に党内議論がまとまるとの見通しを示していた。この法案 をめぐっては、羽田や成田空港の運営企業に投資する外資を規制することに対 し、対日投資を促進する政府方針に矛盾するのではないかと、閣僚や自民党内 に反対論が出ていた。

渡辺喜美金融担当相は29日午前の閣議後会見で、外資規制見送りに歓迎 を表明。外資規制は「十分な協議が整わないまま、党のプロセスにかけられた ものと思う」と指摘。反対論が相次ぎ、「そうした混乱から総理、官房長官の 強いリーダーシップにおいて、いきなり外資規制を導入するというような乱暴 なことが回避されたのは大変結構なことと思う」と述べた。また、決定プロセ スの透明性が重要とし、「一般論として、政府内部で調整がまだついていない 問題については、密室政治との疑いを招かないような努力は必要」と強調した。

また、町村官房長官は同日午前の閣議後会見で、「国交省の原案は安全保 障の方に少し判断が偏り過ぎていたのではないかなと受け止めた。また各方面 からの意見もあった」と述べたうで、「それらにバランスをとった結果、さら に検討を深めることになった」と語った。

成田民営化の是非を議論し直すべきだ

新生証券シニアアナリストの松本康宏部長は「公共交通施設なのだから、 外資規制は当然だと思う」と述べ、「安全保障面から考えると、国内法人に買 収されても国が有事に影響力を行使することができるが、外国法人だと国は影 響力を行使できない」と指摘する。

また、松本氏は「成田空港の民営化は一連の特殊法人改革の中で決められ たものの一つだが、その中には、郵政省のように民営化してサービスが低下し たものもある」と指摘し、「成田の場合も、今回の件をきっかけに、もう一度 ゼロベースから民営化の是非を議論してみるべきだ」との見解を示している。

羽田空港ターミナルビルを運営する東証1部上場の日本空港ビルデングで は、豪投資ファンドのマッコーリー・エアポートなどマッコーリーグループが 株式の19.9%を保有していることが判明していた。

--共同取材:上野 きより、伊藤 小巻、廣川高史 Editor:Hideki Asai、 Kenshiro Okimoto、Kenzo Taniai

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 松井 博司 Hiroshi Matsui +813-3201-2068 hmatsui2@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +813-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Bret Okeson +81-3-3201-8335 bokeson@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE