1月雇用情勢は改善足踏み、失業率横ばい-消費支出は前年比増続く(2

1月の国内雇用指標は、完全失業率が横ば いとなり、有効求人倍率は2カ月連続で求人数が求職者数を下回って1倍を割 り込んだ。内外の経済環境が一段と不透明感を増す中で、雇用情勢の改善が足 踏み状態にあることを示す内容となった。一方、2人以上の世帯の1月の消費 支出は前年同月比で2カ月連続増加し、個人消費の堅調な推移を示した。

総務省が29日発表した労働力調査によると、1月の完全失業率(季節調 整済み)は3.8%と前月から横ばいとなった。男女別では、男性が3.9%と前 月に比べ0.1ポイント上昇、女性は前月と同じ3.7%。また、厚生労働省が発 表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月の0.98倍から横ばいだった。 昨年11月分は0.99倍から1.0倍に改定された。ブルームバーグ・ニュースが エコノミスト45人を対象にした調査によると、完全失業率の予想中央値は

3.9%、有効求人倍率は0.97倍となっていた。

内外景気の先行き不透明感や原油・素材価格高騰に伴うコスト増加は、中 小企業の新規採用意欲を低下させている。その一方で、人口減少に伴い中長期 的な人手不足感も根強いため、企業は本格的な雇用調整に踏み込めないとの見 方もある。政府は2月の月例経済報告の中で雇用について、「厳しさが残る中 で、改善に足踏みがみられる」とし、前月から判断を下方修正した。

大田弘子経財相は29日午前の閣議後会見で、1月の雇用指標を受け、「雇 用の改善に足踏みがみられる状況が続いている」との認識を改めて示した。ま た、完全失業者が対前月比(季節調整済み)で2万人増加し、雇用者数も同23 万人減少していることに触れ、「内容はあまり良くない」との見解も示した。

バンク・オブ・アメリカの藤井知子日本チーフエコノミスト兼ストラテジ ストは発表後のリポートで、「雇用の伸びが滞り始めたとの見方を裏付けてい る」と述べ、「生産・企業収益見通しが厳しくなりつつあるため、今後は労働 市場は悪化方向とみられる」との見方を示した。

1月の有効求人倍率を都道府県別にみると、愛知県が1.86倍で最も高く、 最低は沖縄県の0.40倍だった。一方、景気の先行指標とされる新規求人倍率 (当月分の新規求人数に対する新規求職者数の割合、季節調整値)は1月に

1.49倍となり、前月の1.43倍から上昇した。

自動車関連、葬儀関係費などが消費増に寄与

一方、総務省が同日発表した家計調査によると、2人以上の世帯の消費支 出は30万9826円で、前年同月比では実質3.6%増となった。生活必需品の値 上げや年初来の株価下落による消費者心理の冷え込みにもかかわらず、2カ月 連続で増加した。前月比(季節調整済み)では実質2.5%増加した。

民間エコノミスト39人を対象にしたブルームバーグ調査の予想中央値は 前年同月比0.3%増だった。支出の増加に寄与した主な品目は、自動車・自動 車部品、葬儀関係費、専修学校・私立高校の授業料など。

ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストは発表後、「自動車等関連費の 伸びが極端に高い点は割り引く必要がある」としつつも、「消費の実勢は、公 表値の消費の伸びほど強くはないが、それでも上昇トレンドは続いている」と の見方を示した。その上で、1-3月期の国内総生産(GDP) 統計上の民 間消費は「引き続き前期比増加する可能性が高まった」としている。

松岡氏は「2008年前半の消費は、労働市場の軟化の影響を受けて前期比年 率で1%前後の伸びにとどまるが、08年後半には年率2%前後の伸びを回復す る」との見通しを示した。その根拠として、①所得と消費の伸びの乖離(かい り)は日本だけでなく他の先進国でもみられる②年間所得の4倍に達する潤沢 な家計の金融資産残高が所得の低迷を相殺する③消費の長期的なアンカーは 労働生産性(トレンドの伸びは2%台前半)にあること-を挙げている。

大田経財相は、経産省が28日に発表した商業販売統計で小売販売額が前 月比3.8%増加したことも踏まえ、個人消費について「1月の消費は堅調に推 移しているとみている」と指摘。一方で、消費の強さについては、物価上昇や 消費者心理の悪化などがあることから、「決して強くない。十分に注意が必要 だ」との慎重な見方を示した。

第一生命経済研究所の長谷山則昭副主任エコノミストは発表後、「消費を 取り巻く環境をみれば、雇用・所得環境の改善ペースが緩慢なこと、ガソリン や灯油などの石油製品・食料品価格の上昇、不安定な株価、米国景気の失速懸 念など消費の下振れリスクは多い」と指摘。「税・社会負担増の圧力は緩和さ れるものの消費が活発化するような材料はそれほどなく、回復感の乏しい状況 に変わりはないとみられる」としている。

スーパーや家電量販店の店長など景気の動きを肌で感じやすい職業に就 いている人を対象にした1月の景気ウオッチャー(街角景気)調査によると、 景気の現状判断は、ガソリンや食品価格の上昇、株価下落などが響き10カ月 連続で悪化した。雇用者所得の回復ペースが鈍い中で、生活必需品の値上がり が個人消費全体の抑制につながる恐れが強まっている。

--共同取材:亀山律子 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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