ゆうちょ銀:08年度運用、社債やMBSなどクレジット商品拡大へ

世界最大の金融機関、ゆうちょ銀行は、 住宅ローン担保証券(MBS)、シンジケートローンなど信用リスク商品へ の投資を徐々に増やして行く。日本国債への投資はほぼ現状維持にとどめて 安定的な収益確保を目指す半面、クレジット資産への分散投資を進める。

ゆうちょ銀経営企画部ALM企画室グループリーダーの清村勇一氏は 27日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、同行の2008年度の 資金運用方針に関して、「円金利資産を中心にしながら資産・負債間の金利 スプレッドを主たる収益源として安定的な収益を確保する」ことを明らかに した。また、「内外の社債、住宅ローン担保証券(MBS)、シンジケート ローンなどクレジット資産へ分散投資し、ウエートを徐々に高めていく方 向」と言う。

同行は、郵政事業の民営化に伴い07年10月1日に発足。日本郵政公社 から継承した資産合計額は07年10月1日時点で約223兆6772億円と世界 最大規模。国内銀行トップの三菱UFJフィナンシャル・グループ(約187 兆円)、生保トップの日本生命(約51兆円)を軽く上回る。07年10月1日 時点の信用リスク商品の保有高は約2兆6000億円に上る。

日本国債については、07年10月1日時点で約155兆5099億円を保有。 07年度下期で短期債を含む国債の運用計画は約29兆1670億円の見通しとな っている。

同行市場運用企画部担当部長の沢井亮氏は「市場が混乱している時には リスク抑制気味に動かざるを得ない。08年度も日本国債の保有額が大きすぎ るので、大きく変えられないだろう。実際に投資額・シェアを変えることは 難しい」と話す。

外債は円高・ドル安リスクを意識して運用

外債は、米国債・ユーロ債などを中心に07年10月1日時点で約2675 億円を保有。「円高・ドル安リスクを意識しながら運用している」(沢井氏)

通貨比率は06年度末時点でドルが26.8%で運用額は約7336億円、ユー ロが59.4%で約1兆6234億円だった。前年度に比べてドルの比率が低下し、 ユーロが上昇しており、「ユーロはしばらく大丈夫だが、ドルはちょっとと いう感じだった」(清村氏)と言う。

内外株式は金銭信託の形で07年10月1日時点で約6031億円を保有。 アジアなど新興国株式は06年度末時点で約71億円保有していたが、05年度 に比べて若干減少した。「民営化を控えてリスク資産を抑えた。今後は分か らない」(清村氏)と言う。

クレジットバブルが崩壊、今後も選別が明確に

沢井氏は、最近の金融市場の動向について、「サブプライム問題の悪影 響が伝播している状態。昨年半ば以降、サブプライム問題で資産担保証券(A B S)、債務担保証券(CDO)などに損失が発生した。次の段階に移っ ていると認識しており、証券化商品を支えていたモノライン(金融保証会社) などのインフラやレバレッジが効いたレバレッジドローン、クレジット・デ フォルトスワップ(CDS)などに波及してきている」と指摘する。

今後の見通しに関しては、「クレジットバブルが崩壊したので、クレジ ット環境が悪化している。信用スプレッドが拡大しており、どこかで市場規 律を再構築していく必要がある。クレジットの選別が明確な形で起こってく るだろう。今後もクレジットスプレッドを要求する状況が続くとみている。 L字型にしか改善しないという認識」と述べた。

その上で、「金融市場では悪材料をいったん織り込んだ状況。軽いリセ ッション(景気後退)か、深刻なリセッションなのか問題はあるが、少なく とも軽いリセッションを織り込んだところからいったん状況は改善するか もしれない。ただ大きな改善は見込めない。株価が上昇トレンドに戻るかは まだ見通せない」と語った。

同氏は、クレジットクランチの状況がマクロのファンダメンタルズ(経 済の基礎的諸条件)に影響し、本格的なリセッションに入るかを1つの注目 点に挙げ、「金融政策の緩和が緩衝材になるだろう。政策発動余地を考える と年後半に市場 は変動の大きいボラタイルな中で安定してくる」との見方 を示した。

米政策金利2%程度織り込む、状況次第で低下余地

米国の金融政策に関して、沢井氏は、「米政策金利は2%近辺まで利下 げを織り込んでいるが、状況が悪化すればさらに下げる余地がある」と言い、 「1%近辺まで行くのかどうかは今後の環境次第で判断つかない」と語った。

一方、日銀の金融政策に対しては、「環境が悪化すればさらなる緩和も ありえるが、0.5%の政策金利では緩和できても限界がある。意味があると は思えない。量的緩和を迫られるような局面があるとは予想していない」と 述べた。

国債中心運用が奏功したとの声

ABNアムロ証券チーフ債券ストラテジストの市川達夫氏は、「運用規 模を考えると選択肢はない。負債側が円預金で、利ザヤを安定的に保つ意味 で資産側が円金利中心になるのは理にかなっている。貸し出しを始めれば、 国債から貸出に替わることにもなるが、貸出以外の円金利資産となれば国債 が中心になる」と指摘。サブプライム問題で他の金融機関が損失を計上して いる中で、「国債中心の運用が功を奏した面もある」と分析した。

さらに、市川氏は「CDOなど証券化商品を購入してもポートフォリオ の一部にしかならないので、利回りがどこまで上昇するかは、今後、どれだ け本格的に参入するか次第」と述べた。

かんぽ生命は10-20年国債中心の運用

日本郵政グループ傘下のかんぽ生命保険運用企画部運用評価担当課長、 鶴山良徳氏は、08年度の資金運用方針に関して、10年債、20年債など長め の日本国債を中心とした運用方針は変わらないと語った。また07年度は民 営化を控えて、リスク資産を抑制し、外債運用を手控えたという。

外債など国債以外の運用対象については、「最近はあまりやっていない。 07年度の運用計画では500億円しかない。民営化を控え、時価評価されるこ とから、07年度は外債は少ししか買っていない。民営化を前にリスクをとれ なかったので、外債は手控えていた。ただ個人的には1ドル=100円を切っ たらドルは買いだと思う」と話した。

かんぽ生命保険が、日本郵政公社から継承した総資産額は07年10月1 日時点で約113兆7373億円。

--共同取材 東京 船曳三郎 Editor:Hidenori Yamanaka, Hidekiyo Sakihama

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