FRB議長:景気下振れリスク克服へ「時宜を得た行動」公約-証言

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FR B)議長は27日、半年ごとの下院金融委員会での証言で、インフレ高進の兆 候があるにもかかわらず、追加利下げの用意があることを示唆した。

同議長は「米連邦公開市場委員会(FOMC)は経済見通しに関する情報 を慎重に判断し、成長を支援するほか、下振れリスクに対する十分な保険を提 供するのに必要な時宜にかなう行動をとる」と発言した。

米金融当局高官の間ではインフレ高進を懸念する声が上がっているが、バ ーナンキ議長は金融市場の混乱と景気減速の方が大きな脅威だとするコーンF RB副議長と見解を共有することを明らかにした。

メシロウ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォン ク氏は「FOMCは完全なリスク管理モードにあり、それは短期的にインフレ よりも金融市場の安定や経済成長を優先することを意味する。しかし、成長が いったん落ち着けば、インフレやインフレ期待に関する情勢から判断すると、 金利をかなり早急に正常化する下地は整っている」と述べた。

「誤りがあった」

議会は住宅金融会社を適切に監督し、消費者を保護してこなかったとして FRBを批判している。金融委員会のフランク委員長(民主、マサチューセッ ツ州)は「規制緩和の行き過ぎが唯一最大の原因だ」と追及。これに対して、 バーナンキ議長は「規制と監督で誤りがあった」と認めた。

バーナンキ議長は証言の中で、景気の「下振れ」リスクという表現に4回 言及。1月29-30日の前回FOMC会合以降、経済指標は「ぜい弱な」成長 を示唆していると指摘した。一方、エネルギー価格や商品相場が最近数週間に 騰勢を強めているため、政策判断がより複雑になっているとの認識も示した。

インフレ懸念

バーナンキ議長はインフレが高進しており、インフレ期待も上昇する恐れ があると証言。景気が安定するに伴い、インフレ見通しに一段と配慮すること を示唆した2月14日の上院公聴会での見解を繰り返した。

さらに「エネルギーやほかの商品価格が最近数週間に一段と上昇しており、 直近の消費者物価指標と併せて、総合物価とコア物価の両方の見通しが上振れ するリスクが先月よりも高まったことを示唆している」と述べた。

成長見通しへのリスクとしては「住宅市場や労働市場が現在の予想よりも 悪化する可能性や信用市場の状況が大幅にひっ迫する可能性」を挙げた。

金融政策の効果

バーナンキ議長は信用市場の圧力が利下げ効果の一部を帳消しにしている と指摘。ルイス・グティエレス下院議員(民主、イリノイ州)からの質問に対 し、「FOMCが利下げを実施し、通常のように金利が低下しても、信用市場 の圧力が特に高リスク債券のスプレッド拡大につながっている」と答えた。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場は、FOMCが次回3月18日 の会合でFF金利の誘導目標を少なくとも0.5ポイント引き下げることを織り 込んでいる。FOMCは昨年9月以来、合計で2.25ポイントの利下げを実施 しており、現行水準は3%。

2.5%まで引き下げられると、食品とエネルギーを除くコア物価上昇率を 差し引いた実質金利はほぼゼロになる。

インフレ期待

証言に併せて議会に提出された金融政策に関する報告書で、FRBは短期 的なインフレ期待について「2007年から08年初頭にかけてやや上昇した。そ れは総合物価が上昇したことが原因だと考えられる」と記述した。ただ、長期 的なインフレ期待は「わずかな変化にとどまった」としている。

バーナンキ議長は「米金融当局にとって今年の重要な課題は、雇用の最大 化と物価安定という責務の達成に向け、金融政策のスタンスが正確に対応して いるかどうかを判断することだ」と語った。

前回のFOMC会合以降に発表された雇用統計では、非農業部門雇用者数 が4年5カ月ぶりにマイナスに転じ、2月の消費者信頼感指数は2003年以来 の低水準に落ち込んだ。

バーナンキ議長は「昨年7月の報告以来、経済が好ましくない状態に一段 と陥ったことは明白だ」と発言した。ただ、議会を通過し、ブッシュ大統領が 今月署名した1680億ドルの景気刺激策に加え、輸出が引き続き伸びているこ とが経済成長を支援するはずだとも述べた。

「勢いほとんどなし」

FRBは議会への報告書で「米経済はほとんど勢いがない状態で2008年 に入ったようだ」と記述。労働市場の需要については「最近、一段と減速し た」と指摘している。

半年ごとの議会への報告書はかつて、FRB理事と地区連銀総裁の半年に 1度の経済予測が含まれていたが、バーナンキ議長は昨年、経済予測の公表を 四半期ごとに増やした。直近の予測は2月20日に発表され、今回の報告にも 含まれている。

米金融当局の2008年経済成長率予想は1.3-2%と、前回予想から0.5 ポイント下方修正された。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト 調査によると、第1四半期に年率0.5%と、07年第4四半期の0.6%から減 速すると予想されている。

コア物価上昇率について、米金融当局高官は08年に2-2.2%に上昇し た後、09年には1.7-2%と好ましいレンジに収まるとの見通しを示した。

バーナンキ議長は物価見通しについて、エネルギー価格や食品価格が落ち 着くかどうか次第という側面もあると述べた。

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