東京外為:円下げ渋り、モノライン見極めで売り慎重-108円前後で推移

東京外国為替市場では円が下げ渋り。米金 融保証会社(モノライン)をめぐる過度の信用収縮不安が後退するなか、米国 株の上昇を受け、リスク投資への安心感から朝方は円売り・高金利通貨買いが 先行。しかし、国内輸出企業などの円買い需要に下値は堅く、午後にかけては 円がじり高となった。モノライン救済策の効果に対する不透明感や米景気の後 退懸念がくすぶっていることも、円の買い戻しを促した。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、前日の海外市場 ではモノライン大手が「AAA」の格付けを維持するとのニュースで円売り基 調が高まったが、「それですべての問題が片付いたわけではなく、なかなか手 放しで円売りを全面的に仕掛けるには、まだ他の環境を見極めたということも あり、ドル・円の上値攻めには至らなかった」と説明する。

円売り先行も、その後じり高

この日の東京市場は、欧米株高を背景に円売りが進んだ海外市場の流れを 引きずって始まった。ドル・円は東京市場としては3営業日ぶりとなる1ドル =108円台で早朝の取引を開始すると、午前9時すぎには一時、108円14銭(ブ ルームバーグ・データ参照、以下同じ)まで円が軟化。しかし、国内輸出企業 などの円買いに下値を支えられると徐々に円は下げ渋る格好となり、午前11時 すぎには107円94銭まで値を切り上げた。

その後、再び108円台に乗せる場面も見られたが、円の下値は堅く、午後 にかけては円が一時、107円78銭まで上昇。円買い一巡後は107円台後半から 108円前後でもみ合いとなった。

ユーロ・円も6週間ぶりの円安値圏となる1ユーロ=160円台前半で東京市 場を迎えると、午前9時すぎに一時、160円40銭と前日の海外市場で付けた1 月15日以来の円安値(160円43銭)に迫ったが、その後は円じり高となり、午 後には一時、159円77銭まで円買いが進む場面もあった。

塩入氏は、「108円半ばからはかなり実需を中心としたドル売り・円買いが 控えているとの観測が東京市場でも強く出ていた」と指摘。加えて、正午過ぎ にモノライン2位のアムバックについて、30億ドルの増資では不足ではないか との観測記事も出たこともあり、やや円高方向の動きになったと説明する。

ユーロ・ドルは1ユーロ=1.4840ドルから1.4820ドル付近の間でもみ合っ ていたが、午後には1.4811ドルまでユーロがやや弱含みとなった。

一方、高金利通貨は引き続き買い優勢の展開となり、オーストラリア・ド ルは対円、対ドルで昨年11月以来の高値を更新。また、ニュージーランド・ド ルは対円相場で一時、同12月下旬以来、対ドルでは1985年の変動相場制以降 以来の新高値を付けた。ただ、その後は買いも一服し、持ち高調整の動きから 豪ドル、NZドルとも高値からやや値を戻している。

モノライン

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は25日、世界最大 のモノライン、MBIAを格下げ方向での見直しの対象から外したことを明ら かにした。MBIAの「AAA」格付けが近く引き下げられることはない見通 し。

また、モノライン2位のアムバック・ファイナンシャル・グループは、S &Pやムーディーズ・インベスターズ・サービスの「AAA」格付け維持を目 指し、約30億ドル規模の資本増強計画を複数の銀行と協議している。

三菱東京UFJ銀行市場業務部為替グループの高見和行上席調査役は、モ ノラインに対する救済計画や格付け維持で、「格下げにより、すぐに地方債な どにも影響が広がるというような懸念が急速に進展することは取りあえずなく なった」としながらも、信用問題がこれで片付いたという訳では到底ないと指 摘している。

過度の信用収縮不安の後退から25日の米国株式相場は大幅続伸。一方、26 日の東京株式市場では、日経平均株価が一時、1月15日以来となる1万4000 円台を回復する場面も見られたが、午後にはマイナスに転換。米紙ウォールス トリート・ジャーナル(WSJ、オンライン版)が、米銀最大手シティグルー プの投資銀行部門のトレーダーが15億ドルの損失を被ったと報じたこと後は売 りが増えた。

米指標で方向感見極め

一方、この日は米国で、1月の生産者物価指数(PPI)と2月の消費者 信頼感指数、10-12月の住宅価格指数が発表される予定で、「物価の強含みと 景況感の低迷が確認された場合は、スタグフレーション(景気後退と物価上昇 の同時進行)が意識される可能性も残る」(ロイヤル・バンク・オブ・スコッ トランドのヘッド・オブFXストラテジー・ジャパンの山本雅文氏)。

また、週半ば以降にはバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の 半期金融政策報告が控えているほか、来週にはISM(米供給管理協会)景況 指数、雇用統計など注目の経済指標が発表される。

三菱UFJ証券の塩入氏は、米国の悪材料が織り込まれつつある中、市場 参加者は相場反転の方向を探りつつも、米国の景気回復が現実のものとしてま た受け入れられず、方向感を絞り切れないでいると指摘。ドル・円は「重要指 標を見極めるまでは、このところ続いている106円80銭近辺から108円50銭 近辺という中でのもみ合いになってしまう」とみている。

--共同取材:柿崎元子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama、Norihiko Kosaka

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