大和総研の鈴木氏:政府系ファンドの株式保有による政治的行動に懸念

大和総研の鈴木裕主任研究員は26日、ブル ームバーグテレビジョンのインタビューで、政府系ファンド(SWF=ソブリ ン・ウェルス・ファンド)による株式保有の問題点や今後の焦点について語っ た。発言内容のうち主な部分は以下の通り。

政府系ファンドが存在感増している背景:

「政府系ファンドは1950年代に創設されている。中東オイルマネーによる 投資活動の歴史も古く、全く新しい投資家の出現ではない」

「ここ1年ほどの間に存在感が増しているのは、原油価格の高止まりで中 東に巨額の運用資金が生じていることや、中国やロシアといった政治大国がフ ァンドをつくり、欧州諸国の企業に少なからぬ影響力を持ち始めていることが 関心を集める理由になっている。従来は債券投資が中心だったこれらの資金が 株式投資を志向するようになっていることは、市場動向に変化を生じさせかね ない」

SWFによる株式保有の問題点:

「多くの問題点がある。株式は企業に対する支配権を本質的目的としてい るから、国家による民間企業支配という問題が生じる。この問題は異なる側面 を持つ。1つは、国の資金があまりに『寛容』であることからくる問題だ。株 主としてモノ言わず、企業に強く改善を迫らない株主になる恐れがある。これ はかつて、国有企業が非効率性を抱えていたことを思い出せば理解できる」

「もう1つの側面は、国家の資金であるから政治的な意図に沿った行動を 取るのではないかという懸念だ。欧米諸国が心配しているのはこの点だ。中東 やロシア・中国の資金が産業政策や安全保障上重要な民間企業を支配してしま う恐れは否定できない」

今後の焦点:

「SWFの対象企業は民間企業だが、金融証券市場の秩序維持や産業政策、 安全保障政策は政府の役割。投資家としての国家と、政策当局としての国家の 関係、つまり国家対国家になるところに規制の難しさがある。投資を受ける欧 米側はコード・オブ・コンタクト(行為基準)を策定して投資の意図や方針を SWFに開示させようとするが、これに従うとは限らない。欧米も投資を過度 に規制しては、資金が逃げてしまうことを恐れるだろう。投資する側と投資を 受ける側が妥協点を探っていくことになるだろう」

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