外国人の日本株投資姿勢は依然厳しい、3つの課題-メリル証の菊地氏

メリルリンチ日本証券の菊地正俊チーフ 株式ストラテジストは25日に放映されたブルームバーグ・テレビとのインタ ビューで、足元の外国人投資家の売買動向について、「大きな売りは一巡した 感はあるが、依然日本株に対して厳しいという印象を持っている。景気鈍化に 加え、政治・政策への不信感も強く、積極的に買う現状にはない」との認識を 示した。

東京証券取引所が前週21日に発表した2月第2週(12-15日)の投資部 門別売買動向によると、外国人投資家は2008年に入って週間としては初めて 買い越しとなり、買い越し金額は1618億円となった。しかし菊地氏は、海外 勢のトレンド転換を示すものではないとの見解。今後外国人が本格的に戻るき っかけになり得る材料として、「3つある」という。

1つは、「日本は世界の景気敏感株であり、米国を中心とした世界経済の 見通しが回復する必要がある」(菊地氏)。2番目としては、「日本の企業経 営、コーポレートガバナンスを懸念しているので、株主総会に向けて株主提案 が通るとか、もっと積極的な自社株買いが出てくるなど、企業経営に対する不 信感が払しょくされる必要がある」(同氏)とした。

3番目として菊地氏が挙げたのが、福田政権が与えている構造改革鈍化の 印象。「空港に対する外資規制が話題になっているが、小泉政権まで戻らなく ても、せめて安倍政権並みの路線の戻るという見通しが出てくれば、外国人の 見方も良くなってくる」と予測する。

早くても5、6月

菊地氏によると、海外勢の姿勢が変わってくる時期は「早くても5、6月 以降」になりそうだ。4、5月に出る企業業績が慎重な内容となる点は、毎年 のことで海外勢の間でも浸透しているものの、今年の場合は「07年12月決算 企業の内容を見てもかなり厳しく、09年3月期の予想は厳しくなりそうで、見 極める必要がある」という。

また、米国景気に関しても金融当局が積極的な利下げを行っている最中で あり、「これによる景気の底入れ見通しが出てくるのは年央以降になりそう。 また株主総会では、去年と違っていくつかの株主提案が通りそうだが、これで 外国人のコーポレートガバナンスに対する見方が改善してくるのも、6月以降 になる」と読んでいる。

広がる外資排除論、英見習い投資歓迎すべき

一方で菊地氏は、株式市場を含む現在の日本について「残念ながら再度外 資排除論、ハゲタカ論が出ている」と指摘した。その半面、大田弘子経済財政 相が1月の通常国会冒頭の経済演説で、「もはや日本は『経済一流』ではな い」と発言したことに言及。「再度日本を一流国にするためには、人口が減っ ているわけで、もっと外資を呼び込むしかない」(同氏)との見解を強調した。

菊地氏は、日本と対照的な国として英国を挙げる。「1993年ごろは1人当 たりGDP(国内総生産)は日本の半分ぐらいだったが、今は1.3倍ある。ウ ィンブルドン化など批判もあったが、英経済はどんどんオープンにしてロンド ン・シティを世界一の金融センターにし、東欧からも人が入り、英内需は非常 に好調だ」と解説。その上で、英国のように日本経済もオープンにする必要が あり、「空港の外資規制、Jパワー(電源開発)に対する投資問題など懸案事 項あるが、国全体として内資、外資区別することなく、日本に投資してくれる 人は歓迎すべきだ」(同氏)と話している。

通信、商社、銀行に注目

菊地氏によると、本来外国人が好きなセクターは「自動車、機械といった 国際競争力が強い分野や不動産」だそうだ。しかし、「残念ながらこれら3業 種はいま買う局面ではない。自動車は米国の景気鈍化懸念があり、機械は中国 の引き締めでいろいろな懸念が出ている。不動産も世界的に下がり始めてい る」(同氏)という。

こうした状況に対し、菊地氏が現在投資家に推奨しているのは「外国人が 好むセクターではないが、あくまでディフェンシブとして『通信』、世界的な 資源高で業績のビジビリティが高く、バリュエーションも低い『商社』」など。 また、「外国人から見離された『銀行』も、バリュエーションは低く、日本の 銀行はサブプライム関連投資のエクスポージャーがないにもかかわらず、売ら れていた」点に見直し余地を見出していた。

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