シャープ株が急反発、ソニーにテレビ用液晶パネル供給の報道(4)

液晶テレビ大手シャープの株価が急反発し た。ソニーへのテレビ用液晶パネル供給で最終調整に入ったと日本経済新聞が週 末に報道。確実に利益の取れるパネル外販戦略を積極展開中のシャープの供給先 に、ブランド力を持つソニーが加われば業績にも好影響を与えると評価された。

シャープ株は前週末比103円(5.2%)高の2100円で終了した。ソニーも、 報道通りに交渉が妥結すれば、現在の提携先である韓国サムスン電子との合弁会 社「S-LCD」以外に大型パネル調達先を確保できるとあって株価は反発、同 120円(2.4%)高の5140円で取引を終えた。

23日付の日本経済新聞朝刊は、ソニーがシャープからテレビ用の液晶パネ ルを調達する方向で最終調整に入ったと報道。08年度にも購入を始め、テレビ に組み込み世界で販売する。サムスンとの合弁会社以外にもパネルの調達先を広 げて量の確保とコスト削減につなげるという。この報道について、ソニー広報担 当の吉田成宣氏とシャープ広報担当の武浪裕氏は23日、いずれもコメントでき ないと語っている。

シャープは昨年12月、大阪府堺市に世界最大の液晶パネル・テレビ工場を 着工。稼働は2010年3月まで。新工場の生産能力は50型で8面、40型なら15 面を取れる「第10世代ガラス(10G)」(2850ミリ×3050ミリ)換算で、稼働 時に月3万6000枚、量産時には同7万2000枚と膨大。それだけに供給先確保が 課題とみられている。

同社は堺工場建設を発表した昨夏以降、パイオニアへテレビやカーナビゲー ション向けパネルを供給し、東芝にもテレビ用パネルの供給を拡大する方針を発 表。片山幹雄シャープ社長は1月の年頭会見で、今後も供給先開拓に努め、現在 20%程度である同社液晶パネルの外販比率が「08年度には30%を超える」とし た上で、10年度には比率を50%超にしたいと述べていた。

堺工場の稼働率

大和総研の三浦和晴アナリストは、報道内容が実現すれば、「シャープにと っては東芝に続く安定供給先を確保できる意味でポジティブ」との認識を示した。 シャープは、安定供給先を欠いて堺工場の稼働率が落ちれば、価格下落とともに 採算への悪影響が出かねないだけに、ソニーへの供給が実現すれば、「ほっとで きるのではないか」(同氏)という。

一方で三浦氏は、今回の材料は「ソニーには中立的」と指摘。今後の液晶テ レビ需要拡大で「S-LCDからだけではパネルを十分に調達できないのは分か っていた」だけに、不足分をシャープから補完するのだろうと語った。ソニーと サムスンの関係が悪化する可能性に関しては「ソニーがシャープの工場に資金を 出すならば別だが、今のところは考えられない」(三浦氏)。

ゴールドマン・サックス証券の藤森裕司、二本柳慶両アナリストは25日の 投資家向けメモの中で、ソニーにとって今回の案件は「いい話」だが、投資判断 は「テレビ事業の収益環境は楽観できず、中立を継続」と説明。調達が実現した 場合、ソニーがシャープの堺工場に投資するかどうかが今後の焦点との見方を示 している。

JPモルガン証券の和泉美治アナリストらも25日付の英文リポートで、ソ ニーがS-LCD工場の追加投資などに積極的には見えない点からして、シャー プからの供給でパネル調達の戦略姿勢を転換させたとしても「さして驚きではな い」とコメントしている。S-LCDは昨年夏、シャープの既存拠点である亀山 第2工場(三重県)と同サイズである第8世代ガラスに対応した新工場を稼働さ せたばかり。

09年に1億台突破へ

米調査会社ディスプレイサーチが19日発表した2007年10-12月期の世界 テレビ統計によると、液晶テレビの出荷額ではソニーが19.5%と、サムスンの

19.3%を抜いて07年1-3月期以来の首位に立ち、1、2位が逆転。台数ベー スでは引き続きサムスンが1位だった。前四半期に3位だったシャープは

12.5%から10.1%にシェアを下げ、オランダのフィリップスに次ぐ4位。

また、ディスプレイサーチの統計では、昨年10-12月期に液晶テレビの出 荷台数が、欧州を中心に買い換えが進み、初めてブラウン管を抜いた。

電子情報技術産業協会(JEITA)予測によると、08年には年間ベース でも両者の出荷が逆転。液晶テレビの世界出荷は09年に1億台を抜き、10年に 1億3000万台、12年には1億5500万台に達する見込みだ。

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