日本版政府系ファンド設立に向け自民党部会が発足-初会合開く(2)

自民党は22日、党本部で政府資産を活用し、 株式などリスクの高い運用を手掛ける政府系ファンド(SWF)設立に向けた 検討を進める「SWF検討プロジェクトチーム」(座長・山本有二前金融担当相) の初会合を開いた。今夏までに提言をまとめる見通し。

同チームは党国家戦略本部直属の作業部会。昨年12月に有志議員が日本版 政府系ファンドの設立を目指して発足させた「資産効果で国民を豊かにする議 員連盟」が、党の正式な組織として格上げになった形だ。議連は引き続き同時 並行で議論を進め、今春にも提言を取りまとめる。これを受け、今夏までに作 業部会としての提言づくりにとりかかる。

同本部事務総長の杉浦正健元法相は、「湾岸諸国や中国で政府系ファンドを つくって国有資産を活用しており、日本版のファンドは何か考えられないかと、 作業部会を立ち上げることにした」と経緯を説明。150兆円もの莫大な年金資金 や約4兆円(2006年度決算)に上る日本の外貨準備の運用益などを原資にファ ンド設立の実現可能性について検討するよう要請した。

議連の会長も務める山本氏は「外貨準備の場合、対米国との為替の話があ る。単に国家の資産運用との位置付けでは済まない部分が大半で、慎重さが必 要だ」とする一方で、「何も運用しないでよいのか。資金を寝かしていることこ そ善ということでは、国民から行政運営に不満が出てくる」とも指摘した。

そのうえで、政府系ファンド設立を通じて金融のエキスパートを日本に呼 び込むとともに、「行政の余剰資金の活用・開示によって国民も利便を得ること ができる新たな財源をつくり出すことができる」とアピールした。

この日は、企業年金連合会常務理事の鹿毛雄二氏を招いて、リスクを伴う 資産運用の課題や運用の透明性、説明責任が問われるガバナンス(統治)など についてヒアリングを行った。来週予定している次回会合では、東京証券取引 所グループの斉藤惇社長が東証側の受け止め方について話す予定だ。

財務省国際局長が議連で反論

作業部会に引き続いて開かれた議連では、財務省の玉木林太郎国際局長が 政府系ファンドについて講演し、「損失の負担を考えれば適当ではない」と設立 に否定的な見解を示した。また、政府は収益追求にかかわるべきではなく、日 本国内への投資を促す金融構造の整備に専念すべきだと主張した。

玉木局長は、ドル建てで流入する石油収入の使途を模索していた産油国や、 自国金利高の影響で外貨準備が逆ザヤになる韓国などでは、ファンドを設立せ ざるを得ない背景があったと指摘した。これに対し、「日本では国内経済は巨大 で運用先には困っていない。外貨準備は逆ザヤにはなっておらず、利益を生ん で財政に貢献している」と説明。今年1月までの過去1年間の外貨建て資産の 運用利回りが約11%に達していることを明らかにした。

その上で「リスクをとって収益を追求するのが政府系ファンドの使命だと すれば、民間部門こそ本来の当事者だ。官から民への議論をしているなかで、 本来、民間の活動である収益目的の投資活動に官が乗り出す必要をどのように 整理するのか」と反論。二国間関係にも影響を与えるため、政府がかかわる投 資には民間投資に比べてハンディがあると指摘した。

さらに玉木局長は「政府は日本国内の投資先の魅力を高め、海外の投資家 が日本に入り、よりリスクのある国内資産に振り向けられるような金融構造を つくるという本来の業務に専念すべきではないかと思う」と語った。