北京オリンピックにはみそと漬物持参で-問われる選手村の食の安全

トライアスロン選手のサラ・グルフ氏 (26)は昨年9月、米国代表のオリンピック選手の座を競うため北京を訪問し た際、食べ物や飲み物に「80%の注意」を払った。だが、それでは不十分だっ た。

グルフ氏は食中毒にかかり、嘔吐と下痢の症状を訴えて入院。「北京の腹 痛」と戦うために、抗生剤を飲み、静脈内にほぼ3袋分の輸液を投入する羽目 に陥った。

グルフ氏は電子メールで「食べ物と水が原因である可能性が非常に高い。 競技に参加できることになれば、レースに出場するために米国から持参した食 料以外は口にしないつもりだ」と述べる。

北京オリンピック組織委員会は21日、オリンピック期間中に選手たちが 食べる食品の安全を保証するとし、食料を持参する予定の米国チームを批判し た。米オリンピック委員会(USOC)は、訓練場所となる北京師範大学で独 自にレストランを開設し、食料の一部は自国から持ち込む計画だ。

北京オリンピック組織委員会の食料部門責任者、カン・イ氏は、北京での 記者会見で「米国チームが食料の持参を計画しているのは残念だ。われわれは、 オリンピックで安全な食料の供給を確保するため尽力している」と述べた。

USOCの広報担当者、ダリル・シーベル氏は、USOCはオリンピック の選手村の食料の安全性に関して懸念しているわけではないと主張する。

シーベル氏によると、独自のレストランは、選手たちが食事を取るために 選手村までバスで30分かけて行かずにすむよう、利便性のために設ける計画 だ。選手村に入れない予定の職員ら400人も利用する。2006年のトリノ冬季オ リンピックでも04年のアテネオリンピックでも同様の施設を設置したという。

シーベル氏は「北京の組織委員会は国際オリンピック委員会(IOC)を 通してすべての参加国のオリンピック委員会に対し、食料が安全に供給され、 世界中の選手たちにとって適した水準の食事を確保することを確約している」 と語る。

みそと漬物

日本陸上競技連盟で長距離選手を管理する金哲彦氏は、漬物とみそを持っ て行くつもりだ。同氏は「中国に行くたびに、調理師も含めすべてを日本から 持参する」と言う。

世界保健機構(WHO)、アジア開発銀行、中国政府が05年に発表した リポートによると、中国では毎年、少なくとも3億人が、食べ物が原因となる 病気にかかっている。これは同国の全人口の約23%に相当する。

病気の原因となるのは、飲料水のほか、かんがい用、家畜用の水の汚染だ。 中国衛生部が18日に発表した調査によると、現地の水から採取されたサンプ ル6948件のうちほぼ26%が大腸菌で汚染されていた。

さらに、抗生剤や発がん性のある化学物質が注入された魚や、発がん性の ある赤い染料が加えられたニワトリやアヒルの卵、殺虫剤入りの冷凍ギョーザ について報じる最近のニュースを聞くと、人々は気分が悪くなってしまう。

1300万食

これらの事案が発覚したことにより、食品の安全性改善に対する国際的な 圧力が強まった。中国政府は昨年夏に取り締まりを開始。政府の1月16日の 発表によると、1480人が逮捕された。

オリンピック会場では約1300万食が提供される予定だ。北京市食品安全 局の広報担当者、タン・ユンフア氏は記者会見で、ろ過された水道水が利用さ れ、ペットボトルに入った水も提供される予定であると述べた。

また、オリンピックの食品安全指令部は345種の食材を検査し、汚染され た材料については警告を発令する予定。

中国国家品質監督検査検疫総局の副ディレクター、プ・チャンチェン氏は 「中国政府は、オリンピック期間中の食料の安全を確保するために必要なあら ゆる措置を講じる」と言明した。

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