月例経済報告:基調判断を1年3カ月ぶり下方修正-先行き警戒強める

大田弘子経済財政政策担当相は22日夕、2 月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気のけん引役である輸出と生 産の伸びが鈍化していることを主な理由とし、基調判断を1年3カ月ぶりに下 方修正した。また、米国経済の減速が鮮明になっていることを受け、先行きに ついても、景気の下方リスクに対して一段と警戒感を強めた。

月例報告では、景気の現状について、2月は「このところ回復が緩やかに なっている」とし、1月の「一部に弱さがみられるものの、回復している」と の判断から下方修正した。景気の一部の弱さを象徴する住宅投資の減少に加え、 欧米向け輸出の鈍化を反映する形で生産の拡大が弱まっていると判断した。

先行きについては、「緩やかな景気回復が続くと期待される」としながらも、 サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を背景とする米国経済 の「減速」や金融資本市場の変動、原油価格の動向など「景気の下振れリスク が高まっていることに留意する必要がある」と表現を強め、「より慎重な見方を している」(内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏)。

項目別では、生産と輸出の判断を下方修正したことに加え、雇用も小幅に 下方修正した。また、アジア経済は中国を中心に「拡大が続いている」との判 断を維持したが、米国と欧州経済に関する判断を引き下げた結果、世界経済全 体について、1月の「回復している」から2月は「減速の動きに広がりがみら れるものの、回復を続けている」とし、判断を弱めた。

西崎氏は全体の基調判断の下方修正を受け、「景気は現時点では踊り場入り したということではない」とする一方、外部要因などの展開次第で「踊り場入 りする可能性も否定できない」と言明した。

2002年2月から始まった現在の景気拡大局面は、06年11月に「いざなぎ 景気」(57カ月)を超え、この2月で戦後最長の73カ月となるが、外需に依存 してきた日本経済は試練を迎えている。

生産・輸出

生産については、「増勢が鈍化している」と前月までの「緩やかに増加して いる」との判断から8カ月ぶりに引き下げた。海外経済の影響を受けやすい電 子部品・デバイスの生産拡大に陰りがみられるほか、輸送・一般機械も鈍化し ている。昨年10-12月期の鉱工業生産指数は前期比1.3%増と同7-9月期の 同2.2%増から勢いが落ちている。ただ、西崎氏は、「在庫調整圧力は強くない」 と述べ、「輸出がどうなるかを注視する」と指摘した。

輸出は、輸出数量指数ベースでアジア向けは堅調、米国向けが低下、欧州 向けが横ばい傾向になっていることなどを踏まえ、判断を「緩やかに増加して いる」として、前月までの「増加している」から17カ月ぶりに判断を引き下げ た。西崎氏は、米国向け輸出の鈍化について「サブプライム問題の影響が出始 めている」との認識を示した。

月例報告では、米国経済について「景気回復は弱いものになっている」と した上で、先行きについてはサブプライム住宅ローン問題を背景に「一段と下 振れリスクがある」と指摘。欧州経済については「景気回復が緩やかになって いる」とし、前月からそれぞれ判断を下方修正した。

雇用改善も足踏み

雇用については、1月に「厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みが みられる」としていたが、2月は、一定期間以上足踏みが続いていることから 「このところ」という表現を落とし、「厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみ られる」とし、小幅に判断を下方修正した。

国内総生産(GDP)の6割弱を占める個人消費については、「おおむね横 ばいとなっている」と判断を据え置いた。西崎氏は、自動車販売が1月は好調 だったが、聞き取り調査では「持続可能性は期待できない」などの声があるこ とを紹介し、「環境は引き続き厳しい状況にある」と分析。さらに、消費の裏付 けである雇用者所得も冬のボーナスが不振だったことなどを挙げ、「引き続き楽 観はできない」と慎重な見方を示した。

このほか、改正建築基準法の影響で減少が続いている住宅建設については、 「持ち直しの動きがみられるものの、依然として低い水準にある」と前月から 判断を据え置いた。