東京外為:ドル下げ渋り、米景気悪化は織り込み済み―一段の悪材料待ち

午前の東京外国為替市場ではドルが下げ渋 り。前日の海外市場では米フィラデルフィア連銀製造業景況指数の悪化を受け、 米景気の後退懸念から対円では1ドル=107円台前半と最近のレンジの下限付 近までドルが売られたが、下値では国内輸出企業などのドル買い需要が強く、 ドルは底堅い展開となった。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の北澤純部長は、米景気が悪 いことはもう織り込み済みだといい、レンジを抜けてドル安・円高が進むには、 「もう一段悪い材料、金融機関の問題やモノライン(米金融保証会社)など、 リスク許容度の低下につながる材料」が必要とみている。

ドルが下げ渋り

この日のドル・円は、米景気の後退懸念からドルが売られた流れを引き継 ぎ、1ドル=107円台前半で早朝の取引を開始。午前8時前には一時、107円27 銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)までドルが弱含みとなる場面も 見られた。しかし、国内輸入企業などのドル買い需要が指摘されるなか、徐々 にドルは底堅くなり、午前9時半すぎには107円56銭までドルが値を切り上げ た。

海外時間に1ユーロ=1.4838ドルと約2週間半ぶりのドル安値を付けたユ ーロ・ドルも、ドルが下げ渋る格好となり、一時は1.4789ドルまでドルが買わ れる場面も見られた。

もっとも、ドル買いもそこまでで、その後は対円、対ユーロともにドルが じり安気味となっている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の清水昭男グループマネージャーは「株安 になるとドル・円、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)ともに頭が重くな りそうだが、最近は株との相関関係が低くなっており、106円台では実需筋や資 本筋のドル買い需要が見込まれていることから、ドル・円の動きは限定的にと どまってくる」と指摘していた。

ユーロ・円は、前日の海外市場で一時、1ユーロ=159円58銭と1月15日 以来、約5週間ぶり水準までユーロ高・円安が進行。しかし、その後は159円 ちょうどを挟んでもみ合う展開が続いており、この日の東京市場午前の取引で は158円29銭から157円88銭の間で推移した。

米景気後退懸念で株価反落

米フィラデルフィア連銀が21日に発表した2月の同地区の製造業景況指数 はマイナス24と前月のマイナス20.9から低下し、前回リセッション(景気後 退)に陥る直前の2001年2月以来の低水準に落ち込んだ。ブルームバーグ・ニ ュースが実施したエコノミスト調査の予想中央値はマイナス10.0への改善が見 込まれていた。

また、米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した1月の米景気先 行指標総合指数(LEI)は前月比0.1%低下と、4カ月連続のマイナス。16 日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は34万9000件 と前週から減少したが、4週間移動平均は36万500件とハリケーン「カトリー ナ」の被害が影響した05年10月以来の高水準となった。

フィラデルフィア連銀指数のさらなる落ち込みなどを受け、米国の景気後 退が一段と現実味を帯びるなか、21日の米国株は反落。この日の東京株式相場 も日経平均株価が午前終値で前日比264円安となっている。

ドイツ証券の深谷幸司シニア為替ストラテジストは、米景気への懸念や株 価の下落から「ドル・円はダウンサイドということになるが、きのうの夜の下 げで株の部分は織り込んでいるため、新たな材料がないとさらなる下押しは難 しい」と指摘する。

悪材料は織り込み済み

日本銀行の福井俊彦総裁は22日午前、衆院財務金融委員会で、「米国経済 の減速傾向が強まっているのに加え、国際金融資本市場の動揺が続いている」 とした上で、「世界経済の下振れリスクが高まっており、日本経済への影響に は不確実性が高い」と述べた。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月18日の定例会合でFF金 利の誘導目標を0.5ポイント引き下げて2.5%に設定する確率は9割程度。0.25 ポイント利下げの確率は1割程度となっている。

一方、米国の景気サイクルを公式判定する全米経済研究所(NBER)の 景気サイクル判定委員会メンバー2人が21日までに、景気下降を裏付ける証拠 が増えていることには注目しているものの、リセッション入りを宣言するのは 時期尚早だとの考えを示した。

三菱UFJ信託銀の清水氏は、この日は米国で主だった経済指標の発表も ないため、「週末のポジション調整中心に、来週以降の経済指標を見ながら、 米国の景気実体と今後の金融政策に注目が移っていく」と予想。その上で、こ れまでの金融緩和の効果と今後の経済対策の効果への期待がくすぶるなかで、 「これまで相当、悪材料は織り込まれているので、よほどの悪化が経済指標で 示されなければ大きく反応することはない」とみている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE