第一三共株が急騰、抗血栓新薬「プラスグレル」が米優先審査対象(2)

国内医薬品2位の第一三共の株価が急騰。 同社が次世代の国際戦略製品と位置付け注力してきた抗血栓治療薬「プラスグ レル(開発コード名:CS-747)」が、米食品医薬品局(FDA)の優先審査対 象に指定された。医療現場で必要とされていることの証しとみられ、同薬の大 型化期待が一段と高まった。

この日は買い気配で取引をスタート。午前9時20分ごろ前日比230円 (7.5%)高の3300円で売買が成立した。その後も2万株、3万株(同社株の 最小売買単位は100株)の大口の買い注文が断続的に入り、平均取引サイズは 前日比3.8倍の6397株に膨らんだ。午前終値は同4.9%高の3220円。

ポジティブ・サプライズ

野村証券金融経済研究所の漆原良一シニアアナリストは、今回のFDAの 決定について、「ポジティブ・サプライズだ。FDAが優先審査を決める場合、 フェーズ3の事前相談時などに明らかにされるケースが多い。こういうパター ンで優先審査が認められたケースは記憶になく、驚きだ」と話した。

三菱UFJ証券の中沢安弘シニアアナリストも「プラスグレルが医療現場 にとって必要なものと判断されたと捉えられ、第一三共にとってポジティブな ニュース」(22日付の投資家向けリポート)と受け止めている。

プラスグレルの先行薬は、世界で6600億円超(06年実績)の売り上げを誇 る仏製薬大手サノフィ・アベンティスの「プラビックス」。UBS証券の志村 裕久シニアアナリストによると、プラビックスが十分に効かない患者も多く、 プラスグレルのニーズが高いという。志村氏は「3月末の学会発表でプラスグ レルのフェーズ3(臨床試験第3相)の追加解析結果が公表されれば、プラス グレル使用により利益を受ける患者数の多さが注目を浴びよう」と指摘する。

第一三共と米製薬大手イーライ・リリーが07年11月開催の米国心臓学会 (AHA)で公表したプラスグレルのフェーズ3データによると、心臓発作や 脳卒中などの「心血管イベント」の発症率は、プラスグレルがプラビックスよ り相対的にリスクを19%低減した。

FDAは今年6月をめどにプラスグレルの承認可否を公表する。従来審査 品目は通常10-12カ月の期間を経て結果が明らかにされるが、優先審査対象に 指定されると6カ月以内で公表される。

ドイツ証券の舛添憲司シニアアナリストは、プラスグレルが優先審査対象 となったことを前向きに受け止めているが、「承認条件がつく可能性もあるた め、同薬の売り上げ予想をただちに変えることはできない」と述べている。ド イツ証ではプラスグレルの年商規模を10億ドル(約1070億円)としている。

研究開発説明会も好評

第一三共は21日午後、アナリストや投資家などを主対象に研究開発説明会 を開催した。抗血栓薬の一種で経口Xa阻害薬「DU-176b」に関しては、外 科手術(股関節置換術750例、膝関節置換術410例)後の血栓塞栓症予防効果 をみるフェーズ2試験で、「高い有効性と安全性が示された」(グローバル研 究開発ヘッドのジョンC.アレキサンダー氏)とコメントした。

糖尿病薬「CS-011(一般名:リボグリタゾン)」については、「武田薬 品工業の『アクトス』より良いという判断があったからこそ開発を継続してい る」(アレキサンダー氏)と説明、フェーズ2試験でアクトスに勝る血糖降下 作用を確認できたとしたほか、安全性や脂質低下作用もアクトスと同等と述べ た。

三菱U証の中沢氏は「特にDU-176bの後期フェーズ2試験で良好な結果を 得た点が好印象」だと指摘している。またUBS証の志村氏も21日付の投資家 向けリポートで、「パイプライン(新薬の品揃え)の強さを確認」と総括、今 後の開発コスト負担を考えると、「DU-176bの共同開発先を模索する、あるい はCS-011の戦略的価値を再検討するなどの決断が不可欠」と記述している。