KDDI株が6年半ぶり下落率、料金競争を警戒-米国動き再現(5)

国内通信2位KDDIの株価が急反落し、 前日比7万3000円安の65万円で安値引け。値下がり率の10.1%は東証1部 のトップで、1日の下落率としては同社設立から約1年後の01年9月28日に 記録した12.0%以来、6年半ぶりの大きさを記録した。水準は06年6月当時 のに逆戻りした。売買代金は480億円と日本の全市場で4位。

21日に家族間通話の無料サービスを3月開始すると発表したことで料金 競争加速への懸念が誘われ、他の携帯大手の株価も下げた。最大手NTTドコ モは同8000円(4.8%)安の15万8000円、3番手のソフトバンクは同45円 (2.0%)安の2210円だった。

今回のKDDIの動きが料金競争の本格化に直結するかに関しては慎重論 も強い。ただ、米国では2日前、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ の携帯子会社が通話無制限の定額プランを発表。翌20日のニューヨーク市場 でベライゾン株価が02年7月以来の下げ幅を記録したのを筆頭に、通信関連 各社の株価が軒並み急落しており、日本でも同じシナリオが再現された格好。

新サービスは3月に開始する。KDDIは今回の割引により、顧客獲得ペ ースでリードされているソフトバンクモバイルに、年間最大の商機である春商 戦に合わせ追随した形。取り残された格好となったドコモは22日に最大で

6.0%下げ、ソフトバンクも一時3.3%安まで売られた。

焦り?

クレディ・スイス証券の早川仁アナリストは21日夕のリポートで、今回 の値下げは「ソフトバンクに月次の加入者純増シェアなどで連敗している経営 陣の焦りが、最大の動機」とした上で、「解約防止の観点からは一定の効果が 期待できそうだが、加入者間無料通話を掲げるソフトバンクと比較すると、中 途半端」と評した。

みずほインベスターズ証券の須山弘之アナリストは22日午後、「KDD Iは2番手として常に、最大手のドコモ追撃を主眼としていたはず」と指摘。 そのうえで今回、3位のソフトバンクを意識した値下げを行ったことで、投資 家の悪印象を招いた可能性があると述べた。

RBCインベストメントの武田洋二ファンドマネジャー(香港在勤)は携 帯電話の料金値下げ競争は「激化しており、終わりが見えない」と指摘。ソフ トバンクが顧客獲得目的で新戦略を出し続け、残り2社が追随する形が続く限 り、「携帯電話会社の株式には手を出しにくい」とコメントしている。

影響は軽微との見方

KDDI広報部の桜井桂一氏によると、今回の無料化は来期(2009年3 月期)には250億円の減収要因が生じる見通し。ただ、これは今期の携帯事業 売上高見通し2兆8460億円の0.9%。

関連して三菱UFJ証券の森行眞司シニアアナリストは、KDDIの今回 の割引について「家族間無料にとどめており、減収インパクトが少なく費用対 効果の大きい家族の囲い込み」が狙いだと説明。KDDIには「業界の疲弊に つながる全面的な料金戦争を仕掛ける意思は少ない」と述べ、最大250億円の 減収要因も「0.1%弱の解約率改善か、33万人の加入者増を達成すれば相殺が 可能」だと分析している。

ドイツ証券の西村賢治アナリストも21日夜発表の英文リポートで、今回 の無料化を呼び水にKDDIの「携帯契約が2%伸びる」とみられるとの見通 しを示している。

ドコモの出方

KDDIは06年秋の番号継続制度の導入を契機に契約を集め、年間単位 では06、07年で純増首位。しかし月次ベースではソフトバンクモバイルが割 引サービスを全面に出して攻勢を強め、今年1月まで9カ月連続のトップとな っている。この中でドコモは「1人負け」が続いている。

三菱U証の森行氏は、「ドコモも顧客囲い込みを狙ってKDDIの施策に 追随する可能性がある」と指摘。顧客基盤のサイズから逆算するとその場合、 ドコモには年間500億円の減収要因が生じると分析している。ただ、「ドコモ も費用対効果の少ない値下げには慎重なスタンスであり、当面はKDDIの状 況を見極めることになるだろう」(同氏)と述べた。

無料化を実施すれば通話が殺到し、回線設備がダウンする危険性が出てく るため、契約数が多い会社ほど導入には及び腰だ。ドコモ広報担当者の一越修 一郎氏は22日、こうした理由から同社としての「対応は未定」と説明。KD DIの桜井氏も値下げの理由について「無料化で通信量が増えても、回線網に 過剰な負担が掛からない確証が取れたため」と説明している。

--共同取材:近藤 雅岐   Editor:Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 駅 義則   Yoshinori Eki +81-3-3201-3422 yeki@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:

大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net ソウル Young-Sam Cho +82-2-3702-1639 ycho2@bloomberg.net

Keiichi Sakurai Kenji Nishimura Shuichiro Ichikoshi Hitoshi Hayakawa Yoji Takeda Shinji Moriyuki Yoshinori eki Masaki Kondo

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE