ECB、利下げ余地限られる-独PPIの上昇と高水準の賃上げ妥結で

ドイツ最大の労働組合、IGメタル(金 属産業労組)は過去15年で最大の賃上げを勝ち取った。加えてドイツの生産 者物価指数(PPI)はエコノミスト予想を上回る上昇率となり、欧州中央銀 行(ECB)の利下げ余地は限られつつある。

IGメタルは20日、ドイツの製鉄最大手ティッセンクルップなどの鉄鋼 労働者、約8万5000人について5.2%の賃上げを確保したと発表した。同日 ドイツ連邦統計庁が発表した1月のPPIは、前年同月比3.3%上昇と2006 年12月以来の高い伸びとなり、エコノミスト予想の2.8%上昇を上回った。

ドレスナー・クラインオートのエコノミスト、ライナー・グンターマン 氏(フランクフルト在勤)は「ECBが利下げに動くのは難しい」とみる。 「この日発表されたドイツのPPIと賃金交渉の妥結は、インフレ圧力が早々 に緩和されることはないことを示唆している」と説明した。

ユーロ圏のインフレ率は1月に3.2%と14年ぶりの高い伸びとなった。 インフレ率の目標上限を2%とするECBは7日、景気減速の兆しがみられる なかでも、政策金利を6年ぶり高水準の4%に据え置いた。

トリシェECB総裁は1月時点で、労組がインフレを大きく加速させ得 る賃上げを求めた場合、利上げも辞さない構えを示していた。景気見通しに陰 りが見られるなか、総裁は今月に入り、そうしたけん制を撤回する姿勢を示し ているものの、投資家の早期利下げ期待は見当違いの可能性があると一部エコ ノミストは指摘する。

避けたかった結末

ABNアムロ・ホールディングのシニア欧州エコノミスト、ダリオ・パ ーキンズ氏は、この日の賃上げ交渉はECBが避けたかった結末で、「インフ レ率が既にECBの目指す水準をかなり上回っている状況で、今回の妥結は数 カ月以内の利下げの可能性を低下させるものだ」と語る。

ABNアムロはこの日、ECBの金利政策について見通しを変更し、09 年いっぱい4%に据え置くとした。従来は4.50%への引き上げを予想してい た。

バークレイズ・キャピタルのドイツ担当チーフエコノミスト(フランク フルト在勤)、トルステン・ポライト氏は、IGメタルは当初8%の賃上げを 要求していたが、この日の妥結は「他の労組が高めの賃上げを求めていく上で 勇気を与えるものだ」と語った。

ECB政策委員会メンバーのガルガナス・ギリシャ中央銀行総裁はこの 日、アテネで「最近のユーロ圏のインフレ加速は、極めて大きな懸念だ」と述 べた上で、「ECBの政策委員会は、消費者物価へのいかなる2次的影響も回 避するとの方針を堅持する」と言明している。