米PIMCO、巨大さは「もろ刃の剣」-法的責任追及受けるケースも

米パシフィック・インベストメント・マネ ジメント(PIMCO)を大手の投資信託運用会社と見なすのは公正さに欠け るのかもしれない。

同社の債券資産7470億ドル(約80兆円)はオーストラリアの国内総生産 (GDP)に匹敵する。旗艦ファンドである「トータル・リターン・ファンド」 の1130億ドルの運用資産は、世界銀行のデータに基づけば、エジプトやニュー ジーランド、ウクライナなど世界130カ国余りの経済規模を上回る。

PIMCOのビル・グロス最高投資責任者(CIO、63)は、20年前の設 定から運用しているトータル・リターンを米プロバスケットボールリーグ(N BA)のフェニックス・サンズで活躍する身長2メートル20センチ、体重147 キロのシャキール・オニール選手に例える。

同CIOは、「資産が1130億ドルではなく10億ドルなら、もっと機転が利 くことは間違いない。われわれはゲームを支配する身長2メートル以上のセン ターにならなければならない」と話す。

カリフォルニア州ニューポートビーチに本社を構えるPIMCOは、その 規模ゆえに、割安な手数料など取引で有利な条件を勝ち取ることができるが、 ファンドの専門家や調査担当者は、PIMCOのような巨大さが、同社のトレ ーディングの柔軟性を損なう上に、市場全体の流動性に影響を与えると指摘す る。

シカゴの投信調査会社モーニングスターのマネジングディレクター、ド ン・フィリップス氏は、「市場における存在感の大きさは、もろ刃の剣だ。プラ ス面を生かす賢明さがなければ、マイナス面がプラス面より大きくなりやすい」 と述べる。

訴訟

シカゴ連邦地裁には、PIMCOが悪質な反則をしたとの訴えが起こされ た。ウォール街の複数のマーケットメーカー(値付け業者)に対する10億ドル 規模の反トラスト法(独占禁止法)訴訟を1998年に勝ち取ったニューヨークの クリストファー・ラベル弁護士は、PIMCOが2005年半ばに1936年の商品 取引所法に違反し、米国債先物相場を操作したと主張している。

グロスCIOは被告として名指しはされていないものの、訴訟は同CIO がトータル・リターンの買い入れを通じ、相場操作に関与したとしている。P IMCOもグロスCIOも操作を否定している。PIMCOは上訴している。

グロスCIOは、「相場操作などなかった。この規模でこれだけ大きければ、 集団訴訟の企ての標的となるものだ。疑いをかける意図のある人物がいないか、 象のように足を踏み出す場所を注視する必要がある」と語る。

カリフォルニア州サンタモニカの機関投資家向け年金コンサルタント会社、 エンジェルス・インベトメント・アドバイザーズのマイケル・ローゼン最高経 営責任者(CEO)は、一般的に、大型債券ファンドはその意図が何であろう と、その規模自体が法的責任を追及されやすいのかもしれないと指摘する。モ ーニングスターのフィリップス氏は、最大級の市場参加者は望まないスポット ライトも浴びるものだと話している。