東芝:メモリー新工場を北上と四日市に、1.7兆円投資-10年量産(3)

半導体メーカー国内最大手の東芝は19日、主 力の半導体事業でNAND型フラッシュメモリーの増産を加速するため、2つの新 工場を建設すると発表した。新工場は岩手県北上市と三重県四日市市にほぼ並行し て建設する。いずれも2009年春に着工し10年に量産を開始する。積極投資の継続 で、フラッシュメモリー世界シェア首位の座を目指す。

東芝本社で同日夕会見した西田厚聰社長は「需要の急拡大に柔軟に応変できる 体制の構築が急務」とした上で、2工場の総投資額は1兆7000億円を超える見通 しであることを明らかにした。並行して建設する理由については、NAND型フラ ッシュメモリーの量産拠点を確保するだけでなく、次世代メモリーの開発・量産を 「他社に先んじて整備することが不可欠なため」と説明した。

NAND型フラッシュメモリーは、携帯音楽プレーヤーや携帯電話などの記録 媒体向けに需要が拡大している成長市場。最大手は約40%のシェアを握る韓国サ ムスン電子。約27%のシェアで続く東芝は、提携先の米サンディスクと共に増産 投資を加速する。2工場のうち1つは、東芝とサンディスクが共同運営することで 合意。投資は土地・建屋を東芝が負担し、工場内の生産設備の費用は両社で折半す る。もう一方も同様の協力を検討する。

四日市工場は昨年までに第4棟までを建設し量産に入っているが、隣接地に第 2の拠点を構えることで地の利を生かす。岩手の北上工業団地内には、デジタルカ メラの画像素子などに使われるCMOSイメージセンサーやマイコンなどのシステ ムLSI(大規模集積回路)を生産する「岩手東芝エレクトロニクス」(岩手県北 上市)があり、その敷地内に新工場を建てる。水やガスなどのインフラがすでにあ り人材の確保も容易なため、コストメリットがあると判断した。

生産能力倍増-「ポストNAND」に布石

四日市工場は第1棟から第4棟までを有し、総生産能力は直径300ミリメート ルウエハー換算で月24万枚程度(08年3月末時点見込み)。第4棟が月21万枚 の最大能力に達する10年3月期中には、1-4棟累計で月41万枚程度とする計画 だ。第5棟と第6棟の新工場は、それぞれ「月15-20万枚程度を想定している」 (西田氏)ため、フラッシュメモリーだけで最大2倍の月81万枚程度の世界最大 級の工場が誕生する。

西田氏は「ここで投資の手綱を緩めるわけにはいかない」と強調。NAND型 フラッシュメモリーでは、東芝とサンディスク合計で「世界40%のシェア獲得を 目指す」と語り、従来の目標を堅持した。

同時に、「ポストNAND型フラッシュメモリー」をにらんだ次世代メモリー の開発を進め、新工場での量産開始にも備える。西田氏は「わずかな対応の遅れが 大きな事業損失につながる」として、NAND型フラッシュメモリーに代わる有力 な新メモリー市場の急速な立ち上がりを想定した投資も必要と述べた。

東芝が開発中の次世代メモリーには①3次元構造のNAND型フラッシュメモ リー「ビックス」②NECグループと共同で取り組んでいる「MRAM(磁気利用 の随時書き込み読み出しメモリー)」③富士通、NECグループと共同開発中の 「FeRAM(強誘電体メモリー)」などがある。

東芝の19日終値は前日比5円(0.6%)安の824円。