松下:液晶パネル新工場は姫路に、3000億円を全額負担-10年稼働(4)

松下電器産業は、日立製作所、東芝など と共同出資している液晶パネル製造会社「IPSアルファテクノロジ」(資本 金1000億円)を3月末に連結子会社化し、約3000億円を投じて兵庫県姫路市 にIPSの2番目の生産拠点となる新工場を建設する。8月に着工し、2010年 1月に稼働予定。松下、日立、IPSが15日発表した。

IPSの液晶パネル製造能力は、新工場がフル稼働する13年には32型換 算で現状から年1500万台増え、同2100万台となる。液晶パネルの供給不足が 世界的に続く中、松下はIPSの経営権取得と新工場建設で、パネルの安定調 達を図る。生産したパネルの一部は松下、日立以外にも外販する。

都内で15日会見した米内史明IPS社長(日立出身)によると、松下が 薄型テレビの主軸をプラズマに置き、液晶は30インチ台以下としている事情 もあり新工場では当面、32型と37型のパネル生産を主体とする。今後の需要 動向に応じ、40型台の生産や次世代の超薄型パネル有機ELへの転用も視野に 入れる。

米内氏は姫路を選択した理由として「部品や材料、薬液を供給するメーカ ーの生産拠点が近隣にあり、松下のプラズマ工場がある尼崎にも近い」点を挙 げた。同氏によると、日立は技術者を派遣するなど新工場の建設・運営に人的 には協力するが、投資額約3000億円は松下が全額負担する。

効率生産では後追い

新工場は32型で15面、40型で8面取りが可能な「第8世代ガラス」(8 G)に対応。姫路市の臨海部にある出光興産製油所跡地(48ヘクタール)内に 建設する。投資額約3000億円は、シャープが8Gの1.6倍のサイズである「第 10世代」対応で大阪府堺市に建設中である新工場の3800億円に次ぐ規模。

シャープの既存工場である亀山第2工場(三重県)や、ソニーと韓国サム スン電子の合弁企業S-LCDが韓国で昨夏に稼働させたパネル工場も8G対 応。IPSの新工場は1枚のガラスから何枚のパネルを切り出せるかという生 産効率の面では、これら2工場に数年遅れで並ぶ格好だ。

松下は3月末までに東芝からIPS株15%を取得して出資比率を45%に 上げ、米国会計基準に基づいて連結子会社とする。並行して3月末までにIP S株50%を保有している日立の全額出資子会社に24.9%を出資。この出資を てこに、同子会社の持つIPS株と大型液晶パネル事業を計660億円で取得す る。一連の手続き完了後も日立側は、最大10%の出資比率を維持する方向。完 了の時期について、15日の会見に同席した松下の森田研常務役員は「2年以内 がめどになると思う」とコメントした。

安定調達

松下の薄型テレビ事業は、世界トップのシェアを持つプラズマテレビが主 軸。ただ、今期(2008年3月期)の販売目標はプラズマ500万台に対し液晶は 400万台に上る。液晶テレビについては上半期で、世界的な需要過多もあって パネルの調達に苦慮した後遺症もあり、年間の販売目標達成は微妙な状態。そ れだけにパネルの安定調達が課題だった。

一方、IPSから手を引く形になる東芝は昨年12月、シャープを新たな パネル調達先とすると発表。10年度には東芝の32型以上のテレビの約4割に シャープ製パネルを搭載する方針だ。

松下と日立の株価は15日午後に安く推移していたが、午後2時に発表内 容が伝わると下げ幅を縮小、日立株は一時プラス圏に転じた。終値は松下が前 日比30円(1.3%)安の2295円、日立は同2円(0.3%)安の797円。