NY外為:ドル下落、対ユーロ1週ぶり安値-利下げ示唆で売り(2)

ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。 対ユーロで1週間ぶりの安値を付けた。バーナンキ米連邦準備制度理事会(F RB)議長の議会証言で追加利下げの可能性が示唆されたことを受け、ドルへ の売りがかさんだ。

ドルは主要16通貨のうち11通貨に対して下落。バーナンキ議長は上院銀 行住宅都市委員会の公聴会で証言し、「成長を支援し、下振れリスクに対して 十分な保険を提供するため、必要に応じて時宜を得た行動をとる」と述べた。 株式相場が下げ、低金利で調達した資金を高利回り資産に投じるキャリートレ ードが解消されるとの見方から、円は上昇した。

RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ(コネティカット州グリニッ チ)の国際通貨ストラテジー責任者、アラン・ラスキン氏は、「バーナンキ議 長の発言はかなりハト派寄りに感じられた」と語る。「ドル金利の低下はいず れ痛みを伴う。ドルが上昇基調を維持するのは極めて難しい」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時10分現在、ドルは1ユーロ=1.4637ドルに下 落。一時は7日以来の安値を付けた。前日遅くは同1.4573ドルだった。ドルは 対円では1ドル=107円97銭に下落。一時は1カ月ぶりの高値に上昇する場面 もあった。前日遅くは同108円33銭。円は対ユーロで下落し、1ユーロ=158 円4銭。前日は同157円87銭だった。

バーナンキ議長はまた、「信用コストの上昇と信用供給の減少が引き続き 経済成長を抑制する一因になる可能性が高いようだ」と発言。これをきっかけ に株式市場では売りがかさみ、円は対ドルで値を戻した。大手金融機関が今年 に入って計上した評価損は1460億ドルに膨らんでいる。バーナンキ議長の発言 は信用市場での損失がさらに莫大になるとの懸念を再燃させた。

オーストラリア・ドルは1豪ドル=90.17米セントに上昇。前日遅くは同

89.64米セントだった。オーストラリアの失業率が1974年以降の最低となった ことから、同国中銀は現在7%の政策金利を引き上げるとの観測が強まった。

「積極的利下げ」

四半世紀で最悪といわれる住宅不況を背景に、連邦公開市場委員会 (FOMC)は昨年9月以降5回にわたって利下げを実施。フェデラルファン ド(FF)金利誘導目標を合計で2.25ポイント引き下げ3%に設定した。現在 の利下げ局面がスタートした9月18日以来、ドルは対ユーロで4.5%下げてい る。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの通貨ストラテジスト、ポー ル・ロブソン氏(ロンドン在勤)は、「FOMCは今後も積極的に金利を引き 下げる意思を明確に表示した」と指摘。「ユーロは対ドルで上昇を続けそう だ」と述べ、3カ月内の対ドルでのユーロ相場レンジを1.48-1.50ドルとした。

シカゴ商品取引所(CBOT)の金利先物動向によると、3月18日の次回 FOMCで0.5ポイントの利下げがある確率は72%。残りは0.75ポイントの 利下げを予想している。

キャリートレード

同じ年限で比較した米国債に対するドイツ2年国債の上乗せ利回りは128 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)と、前日の120bpから拡大し、 ユーロ建て資産の投資妙味を高めた。

豪ドルは主要16通貨のうち13通貨に対して上昇。金利引き上げにより同 国資産への買いが増えるとの思惑から買いが集まった。オーストラリア統計局 が発表した雇用統計によると、1月の失業率は4.1%と、昨年12月の4.3%か ら低下し、1974年以来で最低だった。

米株式相場が下げるに伴いキャリートレードの意欲が減退し、円は南アフ リカ・ランドに対して下げ渋った。円は1ランド=14円5銭と、前日から

0.4%下げた。

円は対豪ドルでも0.4%下落。一時は1カ月ぶりの安値となる1豪ドル= 98円14銭を付けた。

相場の変動性が緩和するとキャリートレードは活発化する傾向にある。1 カ月物ドル・円オプションのインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は 一時、昨年12月31日以来最低の10.75%をつけた。前日は11.4%。

HSBCバンクUSAの上席通貨ストラテジスト、ロバート・リンチ氏 (ニューヨーク在勤)は、「最悪の時期が過ぎたとは判断しがたい」と語る。 「今の市場でドル・円の流れが反転しているのは株価の下げに関連した展開だ。 この関係性はいまだに健在だ」と述べた。

バーナンキ議長は議会証言で、インフレを注意深く監視するとも発言。ゴ ールドマン・サックス・グループの上席通貨ストラテジスト、ジェンズ・ノー ドビグ氏はインフレ加速の局面でFOMCが利下げを渋る可能性があるとの見 方から、この発言もドルの売り材料になったとみる。

同氏は「インフレによる束縛はFOMCの景気刺激能力を損なう。これは ドルにとってマイナスだ」と述べた。

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