バンガードなど米投信業界:「大衆のためのデリバティブ」に戦い挑む

英銀バークレイズがバンガード・グループ など13兆ドル(約1407兆円)規模の米投資信託業界が恐れる新たな金融商品 を投入した今、議会と米財務省は投信業界の味方に回っている。

エクチェンジ・トレーディッド・ノート(ETN)と呼ばれるこの上場証 券は、個人が商品や石油、通貨、海外の株価指数などの資産に関連する先物に 投資することを可能とするもの。投信より手数料が安く、規制も緩い。今のと ころ、ETNの保有者は無期限に利益に関連する税金の支払いを先送りできる。

ETNの発行はこれまで100億ドル未満にすぎないが、投信業界はETN が投資家需要を大きくとらえる潜在力があるとみている。シドリー・オースチ ン(ニューヨーク)の税法担当弁護士、アレックス・ゲリナス氏は、ETNを 「大衆のためのデリバティブ(金融派生商品)」と呼ぶ。同氏によれば、投信業 界にとってETNの台頭を防ぐことが「今年の課題」だ。

投信業界はETNの優遇税制に反発。業界団体は、政府がこの優遇税制を 廃止するか、それを投信に拡大することを望んでいる。

税・会計顧問会社を立ち上げるためリーマン・ブラザーズ・ホールディン グスを最近退社したロバート・ウィレンス氏は、「今は嵐の前の静けさだ。米内 国歳入庁(IRS)が優遇税制差し止め措置を講じなければ」、ETNは「投信 に代わる有力な投資対象以上」のものになると投信業界は考えていると語る。

米ゴールドマン・サックスや米ベアー・スターンズがバークレイズに追随 してETNの販売に乗り出したことで、投信業界の危機感は高まっている。バ ンガードなどが加盟する米投資信託協会(ICI)は、議会と財務省あての書 簡で、ETNの税制上の利点は「不公平」などと指摘した。

そのかいあってか、財務省は昨年12月、英銀バークレイズが販売する為替 関連の金融商品の一部には優遇税制が適用されないと発表。下院歳入委員会の 小委員会で委員長を務めるリチャード・ニール議員(民主党、マサチューセッ ツ州)は、ICIの説得を受け、ETNなどのデリバティブに対する優遇税制 を認めない法案を用意している。