10-12月GDPは年率3.7%増、2四半期連続プラス-内外需堅調(7)

昨年10-12月期の日本の国内総生産(GD P)は2四半期連続のプラス成長となった。アジア向けをはじめ全般に輸出の 好調を反映して外需が前期に引き続き堅調だったうえ、民間設備投資など内需 も底堅く推移し、市場の予想に反して高い伸びとなった。

内閣府が14日発表した四半期別国民所得統計(1次速報)によると、10- 12月期の実質GDPは前期比0.9%増加した。年率換算では3.7%増。GDPの 6割近くを占める個人消費は前期比0.2%増だった。内需の原動力となった民間 設備投資は前期比2.9%増加した。これに対し、改正建築基準法に伴う審査の厳 格化で着工件数が落ち込んでいる民間住宅投資は同9.1%減だった。

米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題が米国の実体経 済に波及し、同国の10-12月期の実質GDPは前期比0.6%増と、前期の4.9% 増から失速した。同期間の日本経済は内外需がともに伸びたことで、潜在成長 率以上の成長を達成したものの、「米国経済が減速することで、日本経済も一時 的に減速する可能性は十分にあると思っている」(大田弘子経済財政政策担当 相)と、先行きの警戒感は根強い。

大田経財相は発表後会見し、「経済の回復基調は続いている。住宅や個人消 費など一部に弱さはあるが、月例経済報告の判断がおおむね確認された」との 認識を示した。一方で、「今後の下振れリスクは高まっている」とし、「米国経 済や原油価格、住宅投資の動向を注意深くみていきたい」と語った。

ニッセイ基礎研究所の櫨浩一チーフエコノミストはブルームバーグテレビ ジョンに出演し、「外需だけに頼った成長になると予想していたが、意外に内需 が健闘して全体の成長率が高いものとなった。予想より良かったと評価したい」 と述べ、「予想通り住宅は大きくマイナスになったが、設備投資が予想外に強く て内需を大きく押し上げた形となった」と指摘した。

一方、日本政策投資銀行調査部の鈴木英介調査役は発表後、「設備投資や政 府支出は増加したものの、基調としては外需頼みの成長が続いており、世界経 済の減速による先行きの下振れリスクを警戒する必要がある」と語った。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト46人を対象に行った事前調査に よると、10-12月期の実質GDP伸び率は中央値で前期比0.4%増、年率換算

1.7%増(39人対象)だった。また、個人消費は前期比0.3%増、設備投資は同

0.9%増、住宅投資は同9.3%減がそれぞれ見込まれていた。

統計発表後のドル円相場は総じて小動き、午前11時ちょうど現在、1ドル =108円08銭前後で推移している。発表直前は同108円19銭前後。午前の日経 平均株価終値は、前日比364円74銭高の1万3433円04銭と大幅高。

内外需の寄与度

10-12月期の成長率への寄与度は内需がプラス0.5%と、7-9月期のマ イナス0.2%から転換、輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)がプラス0.4% と前期プラス0.5%からプラス幅がやや縮小した。輸出はアジアのみならず、米 国、欧州連合(EU)、中東向けが伸びた。品目別には、特に中東向け自動車、 アジア向けアルミ製品、商社の貿易仲介手数料、船舶などが伸びた。

10-12月期の名目成長率は、前期比0.3%増と2四半期連続プラス。年率 換算では1.2%増。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、原油価格 の上昇に伴い輸入物価が上昇したことが響き、前年同期比1.3%下落した。内需 デフレーターはプラス0.1%と2006年7-9月期以来のプラスとなった。

GDPデフレーターのマイナスは、1998年4-6月以降39期連続のマイナ スとなった。GDPデフレーターは消費者物価、需給ギャップ、単位労働コス トとともに、政府がデフレ脱却の判断材料としている。大田経財相は、デフレ 脱却に関しては「足踏みが続いている」との認識を示した。

内需

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは発表後 に、「建築基準法の影響が建物の設備投資に出ているようだが、機械の設備投資 がカバーしたとみられる」と述べたうえで、先行指標である機械受注が1-3 月期もプラスの伸びが見込まれていることに触れ、「機械の設備投資は緩やかな 経済成長に見合った形で今後も推移するだろう」と語った。

経済産業省が発表した1月の生産・出荷・在庫指数速報によると、設備投 資の一致指標としてみられる資本財出荷指数(輸送機械含む)は10-12月期に 前期比3.8%増加した一方で、建設財出荷指数は同1.8%減少している。

ただ、第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは発表後、「設備投 資の上振れについては注意点が一つ存在する」と述べ、一次速報段階では、設 備投資は総固定資本形成から民間住宅投資と公共投資を差し引くことによって 民間設備投資が算出されることを指摘。そのうえで、「設備投資が実態よりも上 振れて計算される可能性がある」としている。

原油価格や一部食料品の値上げなどで急速にマインドが悪化している個人 消費は、5期連続でプラスを確保した。10-12月期の消費の増加に寄与した品 目は自動車に加え、平年に比べ気温が低かったことを背景に、灯油やエアコン 代などが増えた。宅森氏は個人消費について「そこそこ、しっかりしているこ とが再確認された」としている。

新家氏は、個人消費について「このところのマインド急低下を勘案すると、 08年入り以降に急減速しても不思議ではない」と述べ、「個人消費はウエートが 大きいだけに、消費がこの先も崩れずに持ちこたえることができるかどうかと いった点については注視が必要である」と警戒感を示している。

内閣府の資料によると、消費の裏付けとなる雇用者報酬(名目)は10-12 月期に前年同期比0.2%増となった。7-9月期のゼロ%から小幅改善したもの の、依然として伸びは弱い。このほか、政府最終消費は医療費の支払い増加な どを受け、前期比実質で同0.8%増、公的固定資本形成は同0.7%減少した。

内需の足を引っ張った新設住宅着工戸数は、改正建築基準法に伴う建築審 査の厳格化の影響により、07年は40年ぶりの低水準に落ち込んだが、国土交通 省が昨年11月以降に相次いで規制を緩和したことなどから、着工戸数では持ち 直しの動きが出ている。10-12月期の民間住宅投資は7-9月期の前期比8.3% 減少から減少幅が拡大し、成長率への寄与度はマイナス0.3%となった。

政府は1月18日に閣議決定した08年度経済見通しの中で、民間住宅投資 は前年比9.0%の増加を見込んでいる。ただ、耐震構造が複雑なマンションの着 工件数は依然として大幅な減少が続いているため、急回復するかどうかは不透 明だ。ニッセイ基礎研究所の櫨氏は、住宅投資は「そろそろ底に達して、前期 比で1-3月期は若干プラスになるところまでくるのではないか」と指摘した。

ドイツ証券経済調査部の松岡幹裕チーフエコノミストは発表後、「GDP統 計上の住宅投資が最も弱い時期は07年10-12月期だろう」と述べる一方、「住 宅投資の水準が建築基準法改正前のトレンドにまで戻る可能性は、08年中は低 い」と指摘。松岡氏はまた、「建築基準法改正による建設投資減少がGDP統計 上の民間設備投資に表れるのは08年前半であり、07年10-12月期にはまだ表 面化していない」との見方を示した。

1-3月期は減速予想

松岡氏は08年前半の焦点は、①建築基準法改正の負の影響がいつから減退 し始めるか②世界経済減速と円高が輸出にどの程度の影響を与えるか③雇用者 所得の低迷がやがては消費の低迷につながるのか-としたうえで、「総じて、08 年前半が成長モメンタムの最も弱い局面となろう」と予想している。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は、「今回の実質成長率や当面の物 価動向を表面的に見れば、日銀にとって利上げのサポート材料となり得る」と する一方、「当面の金融政策運営にとっては、米国サブプライム問題の収束や米 国など世界経済の減速、それが日本に及ぼす影響などを注視する必要があり、 それらの見極めに時間を費やすことになるだろう」との見方を示した。

07年暦年の実質GDP成長率は2.1%、名目GDP成長率は1.3%となっ た。7-9月期のGDPは前期比実質で0.3%増(年率1.3%増)と2次速報の

0.4%増(年率1.5%増)から下方修正された。内閣府は、07年度の政府経済見 通しの実質1.3%成長を達成するには、残り1-3月期は前期比1.6%減(年率

6.4%減)でも達成可能と試算している。

町村信孝官房長官は14日午前の記者会見で、「いい数字が出たのかと思う」 としたうえで、07年度政府経済見通しについて「よほどのことがない限り達成 できそうだ」と語った。

--共同取材 Harumi Ichikura、下土井京子、亀山律子、吉川淳子  Editor: Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

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