米国債:2-10年債利回り差が04年以来で最大-ARS入札不調で

米国債市場では10年債と2年債の利回 り差が2004年以来で最大となった。信用市場での損失が拡大するとの思惑が 背景にある。

3カ月物財務省短期証券(TB)の利回りは5日ぶりに低下。地方自治体 が発行する入札方式証券(ARS)の売れ残りに対し、投資銀行が引き受けに 消極的になっているため、混乱期の安全な逃避先とみなされる短期債に買いが 入った。ARSは入札で金利を定期的に見直す、変動利率型の金融商品。

マニング・アンド・ナピアー・アドバイザーズで約40億ドルの債券資産 の運用に携わるジャック・バウアー氏は「ARSを敬遠する動きは信用が枯渇 しつつあることを示す新たな例だ。信用が収縮すると、経済成長を抑制する。 景気が軟化すればするほど、米国債を支援する」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 5分現在、2年債利回りは前日比ほぼ変わらずの1.92%。一時は1.85%と、 1月23日に付けたほぼ4年ぶりの低水準にあと1ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)に迫った。2年債価格(表面利率2.125%、2010年1月償 還)は1/32近く上げて100 13/32。

3カ月物TB利回りは2bp低下の2.26%。10年債利回りは7bp上昇 の3.73%。

利回り格差が拡大するとの思惑から10年債売りが出た。同利回り差は 181bpと2004年8月以来で最大となった。

スティープ化

スタンダード・チャータードの政府債トレーディング責任者、マイケル・ フランゼーセ氏(ニューヨーク在勤)は「米連邦公開市場委員会(FOMC) が積極的に金融緩和を進めるとの見方から利回り曲線のスティープ化を予想し た取引が増えている」と指摘した。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場の動向によると、3月18日にFOMCが3%のFF金利誘導目標を0.75 ポイント引き下げる確率は32%。前日は20%だった。0.5ポイントの利下げ 確率は68%。

公社債

最近、入札で十分な買い手が集まらない地方自治体発行のARSが増えて おり、ゴールドマン・サックス・グループやシティグループなどを通じた入札 では投資銀行自身も自己資金による引き受けに二の足を踏んでいる。

ブルームバーグが集めたデータによると、12日にゴールドマンを通じて実 施されたニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(PANYNJ)のARS 入札では金利が20%に急上昇した。1週間前は4.3%だった。

メリルリンチが集計した指数によると、全残存期間の米国債の投資収益率 は年初から12日までに2.6%と、1988年以来で最高となった。

カルバート・アセット・マネジメントの債券ストラテジスト、スティーブ ン・バノーダー氏は「信用市場を敬遠し、流動性を確保する動きが強まってお り、景気が失速しているとの認識も高まっている。これらすべてが国債利回り の低下につながっている」と述べた。