NY外為:円は対ドル1カ月ぶり安値-米小売り増でキャリー活発(2)

ニューヨーク外国為替市場では円が下落。 対ドルで1カ月ぶりの安値を付けた。1月の米小売売上高が予想に反して増加 したことから、米経済がリセッション(景気後退)に陥り世界的な成長抑制に つながるとの懸念が後退した。

米株式相場の上昇を背景に、円は主要16通貨のうち14通貨に対して売 られた。低金利の円で調達した資金を高利回り資産に投じるキャリートレード への意欲が強まった。ポンドは対ユーロで2週間ぶり高値。イングランド銀行 がインフレ見通しを引き上げたことから利下げ観測が後退した。

マニュファクチャラーズ&トレーダーズ・トラスト(ニューヨーク州バッ ファロー)の主任通貨トレーダー、ブライアン・テーラー氏は、「これまで米 景気減速についての言及には行き過ぎがあった」と指摘。「したがって景気に 関する好材料ならば何であれ、株式の買いとキャリートレードの促進につなが り、ひいては円への売りを誘う」と説明した。

ニューヨーク時間午後3時18分現在、円は1ドル=108円19銭と、前 日遅くの同107円31銭から下げ、1月14日以来の安値をつけた。対ユーロ では1ユーロ=157円67銭。前日遅くの同156円50銭から下げ、1週間ぶ りの安値を付けた。ドルは対ユーロでほぼ変わらずの1ユーロ=1.4576ドル。 前日は同1.4584ドルだった。

英利下げ観測の後退を背景に、ポンドは対ユーロで1月30日以来の高値 となる74.15ペンスをつけた。現在の相場は1ユーロ=74.19ペンス。前日 は同74.41ペンスだった。イングランド銀行は四半期報告で、今後2年間のイ ンフレ率が目標水準の2%を上回るとの見方を示すとともに、経済成長には依 然として「下振れ」リスクがあると指摘した。

小売売上高

米経済に成長の兆しが現れたことから、キャリートレードが活発になると の思惑が強まった。円は2004年末から昨年6月にかけ、キャリートレードに よる売りで、対ドルで15%下落。1月小売売上高(速報、季節調整済み)は前 月比0.3%増と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想 (0.3%減)に反して増加した。2007年12月は0.4%減だった。

マニュファクチャラーズのテーラー氏はユーロが100日間移動平均の1 ユーロ=1.4544ドルを割り込んでこの日の取引を終えれば、今月中に1.42 ドルまで下げる可能性があると指摘した。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(ニューヨーク)の上席通貨ストラ テジスト、マイケル・ウールフォーク氏は、小売売上高について「特に対円で のドル買い材料だ」と指摘。「市場ではリスク回避の姿勢が和らぎ、キャリー トレードを支援した」と付け加えた。

キャリー意欲

昨年はサブプライム(信用力の低い借り手向け)危機で変動率が上昇、金 利格差を利用した利益が消失するリスクが高まったことから、キャリートレー ドへの意欲が薄れていた。ブルームバーグが世界の端末ユーザーを対象にまと めた調査によると、世界経済の景況感を示すブルームバーグ・プロフェッショ ナル・グローバル景況指数は2月に14.3に低下し、3カ月連続で下げた。

円は昨年6月22日に5年ぶりの安値である1ドル=124円13銭を付け た後、約13%戻している。1カ月物ドル・円オプションのインプライド・ボラ ティリティ(IV、予想変動率)は昨年6月以降、平均約11%で推移。2004 年末から昨年5月末までの8.2%を上回っている。

日本の政策金利は0.5%と、ユーロ圏の4%や米国の3%、オーストラリ アの7%を大きく下回る。S&P500種株価指数はこの日、1%を上回る値上 がりとなった。

円ロング

住宅不況が引き金となって米経済がリセッションに突入するとの懸念が強 まる中、今年に入り、円の先高観が強まっていた。商品先物取引委員会が発表 した通貨先物の建て玉報告によると、対ドルでの円ロング(買い持ち)は4年 ぶりの高水準に達した。

円ロングから円ショート(売り持ち)を差し引いたネットロングは2月5 日の時点で5万4690枚。前週の5万2928枚から増加し、2004年2月以来の 水準に達した。

ABNアムロの上席通貨ストラテジスト、ダスティン・リード氏(シカゴ 在勤)は、「投機的なポジションは現在、円ロングに傾いている」と語る。 「予想外のデータが出れば、ドルが対円で一気に上昇するリスクがある。けさ の市場ではこれが現実のものとなった」と付け加えた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE