米AIG:CDSの会計処理に問題点、評価損拡大の恐れ-株価急落

保険最大手の米アメリカン・インターナシ ョナル・グループ(AIG)は11日、監査法人が会計処理に問題を発見したと して、一部保有資産の価値減少を過小に評価していた可能性があることを明ら かにした。これを嫌気して、AIGの株価は過去20年間で最大の下げとなった。

規制当局への届出文書によると、AIGが販売したクレジット・デフォル ト・スワップ(CDS)のポートフォリオの価値は2007年10月と11月に約 48億8000万ドル(約5210億円)減少した。この評価損は同社が先に開示し た額の4倍。さらに、監査法人がCDSポートフォリオの会計処理に「重大な 脆弱(ぜいじゃく)性」を発見し、同年末時点の価格が評価できていないとい う。

AIG株はマーティン・サリバン最高経営責任者(CEO)が就任した05 年3月以来、約30%下落した。米住宅市場低迷に関連した業績悪化や保有資産 の価値目減りへの懸念が背景にある。サリバンCEOは07年12月5日に、米 住宅市場関連の評価損は「手に負える範囲」と投資家に述べていた。

ペンシルベニア州立大学のエドワード・ケッツ教授(会計学)はインタビュ ーで、「経営陣がデリバティブ(金融派生商品)に関して管理できているのかと いう疑問が生ずる」として、「追加損失があるかどうか分からない状態は他の何 よりも不安をあおる」と指摘した。

AIG株は11日、前週末比5.94ドル(12%)安の44.74ドルで終了。1 日の下落として1987年10月19日以来で最大だった。

AIGの届け出によると、同社の社外監査法人であるプライスウォーター ハウスクーパースは、AIGが「評価額を見直すため市場からデータを収集し ている段階」だとしている。AIGは保有資産の「適正価格を適切に決定する 手順」があると確信していると説明した。

AIGの金融商品部門は07年11月25日時点に、5055億ドル相当の証券 についてデフォルト(債務不履行)時に支払いを肩代わりする契約を保有して いた。証券には社債や欧州の住宅ローン担保証券、債務担保証券(CDO)な どが含まれる。

格付け会社のフィッチ・レーティングスは11日、AIGの信用格付け「A A」を引き下げる可能性を示唆した。「内部管理の弱さ」とデリバティブポート フォリオの「評価額をめぐる不透明につながる現在の市場環境」を理由に挙げ た。

モルガン・スタンレーのアナリスト、ナイジェル・ダリー氏はリポートで、 11日のAIGの発表を受けて「投資家はさらなる損失を懸念せざるを得ない」 として、「次の四半期決算で約50億ドルの評価損を覚悟した方が良いだろう」 と警告した。