G7声明:世界経済減速に警戒感増す-具体的な協調行動示さず(5)

東京で8年ぶりに開催された7カ国財務相・ 中央銀行総裁会議(G7)は9日夕、世界経済が中期的に減速し、一段と不透 明な環境に直面しているとの警戒感を示した上で、各国が成長維持に向けて適 切に対応する協力体制を確認した共同声明を発表して閉幕した。

米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した世 界経済の減速や国際金融市場の動揺が収まらない中で開かれた今回のG7で は、各国が具体的な財政・金融政策の実施に向けた協調姿勢を示すかどうか注 目されていたが、各国の経済事情がそれぞれ違うとして言及を避けた。

声明では世界経済の動向について「世界はよりチャレンジングで不確実な 環境に直面しているが、世界経済全体のファンダメンタルズ(基礎的諸条件) は引き続き堅固である」とした上で、「7カ国のすべてにおいて程度の差はあ るが、成長は短期的に幾分減速すると見込まれる」と指摘。

世界経済については、国際通貨基金(IMF)が1月に2008年の経済見 通しを前回(昨年10月)の4.4%から4.1%に下方修正したばかり。「世界の 経済成長は力強い成長が5年目に入っている」と強気の姿勢を示した昨年10 月の共同声明に比べて、先行きへの危機感が増した内容となった。

今後の対応策については「われわれは国内の状況に応じて流動性供給、金 融政策、および財政政策の分野で適切な行動をとってきた」とし、「引き続き 経済動向を注視し、経済の安定と成長を確保するため、個別にあるいは共同し て、適切な行動をとっていく」と述べるにとどめた。

議長を務めた額賀福志郎財務相は、閉幕後の記者会見で、具体的なマクロ 経済政策まで踏み込まなかった理由について「それぞれの国で事情や背景が違 うので、それぞれの国の事情に合った対策を打ち出すことが重要だ」と説明し た上で、各国で「共同することがあれば共同する」と述べた。

また、会見に同席した日本銀行の福井俊彦総裁はG7の席上、マクロ経済 の運営の点で各国は問題意識を共有しながら、それぞれ経済状況に応じて適切 に対応する旨を主張したことを明らかにした。

一方、シュタインブリュック独財務相は閉幕後の記者会見で、欧州経済は 引き続き力強いと指摘。欧州連合(EU)加盟国が景気刺激策を打ち出した米 国と共同歩調を取る必要はないとの考えを示した。

サブプライム問題の震源地となった米国は、マコーミック財務次官がG7 開催を前に、G7各国がマクロ経済政策で「賢明な措置を講じる」必要がある との考えを表明。しかし、ポールソン米財務長官は閉幕後の記者会見で、他の G7各国に対して米国と同様に内需拡大のために財政政策を活用するよう要 請しなかったことを明らかにした上で、「各国とも経済状況は異なっており、 自国の状況に焦点を合わせる必要がある」と述べた。

米国経済の長期的ファンダメンタルズは健全

声明では米国経済に関して「生産と雇用の伸びが大幅に減速し、リスクは 一層下方に傾いている」としながらも、先行きについては「長期的なファンダ メンタルズは健全であり、08年も成長が続くと見込んでいる」との楽観的な見 通しを示した。また、新興市場国の景気動向については「やや減速しつつも、 底堅い成長を続ける見通しである」とした。

一方で、世界経済の下方リスクとして、米国住宅市場の悪化をはじめ、金 融市場の混乱の長期化による貸し出しの厳格化、原油や一次産品の価格高騰、 欧州各国におけるインフレ圧力の高まりを挙げた。

原油高については石油輸出国機構(OPEC)とその他の産油国に増産を 促すとともに、生産・精製能力の増強やエネルギー効率の改善の重要性を強調。 さらに、「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げること は市場におけるエネルギー需要の調整を妨げることなどから、避けるべき」と 指摘した。

この点について、額賀財務相は閉幕後の会見で、日本の道路特定財源の暫 定税率廃止をめぐる国内の議論を踏まえた指摘かとの質問に対し、「05年のG 7会合で石油製品の価格を抑制する補助金、および人為的価格統制は国際市場 に悪影響及ぼすものであり、避けるべきことを確認する』と決めている。最近 の原油高の状況に合わせてあらためてそれを確認したのであって、他意はな い」と説明した。

為替問題は踏み込まず

為替問題については踏み込むことなく、前回の共同声明の内容を踏襲。為 替レートは経済の基礎的諸条件を反映すべきとの考えを再確認するとともに、 「過度の変動や無秩序な動きは望ましくない」と強調。その上で、「為替市場 をよく注視し、適切に協力する」とあらためて明記した。

ダーリング英財務相は閉幕後の記者会見で、「通貨に関して詳細な議論は なかった」と述べ、ドル安についても議題に上らなかったことを明らかにした。

人民元についても、中国の経常収支黒字が増加し、国内インフレが上昇し ていることから、「人民元の実効為替レートのより速いペースでの増価を促す」 とし、前回と同様に当局に迅速な対応を求めた。

-- Editor: Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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