ECB総裁:政策姿勢に変化、成長へのリスクに言及-利下げに道か

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は7 日、金利据え置き決定後の記者会見で、政策姿勢に変化を見せて経済成長見通 しの不透明感に言及し、利下げの可能性を示唆した。

経済指標が米景気減速の欧州への波及を示すなかで、トリシェ総裁は利上 げの可能性について市場に警告することをしなかった。ユーロ圏のサービス業 の伸びは1月、4年余りで最低に落ち込んだ。消費者・経営者の景況感も2年 ぶり低水準にある。

トリシェ総裁は「経済成長をめぐる見通しの不透明感はいつになく高い」 と述べた。ECBはこの日、政策金利を4%で据え置いた。一方、イングラン ド銀行は0.25ポイントの利下げで政策金利を5.25%とした。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の欧州担当チーフエ コノミスト、ジャック・カイユ氏は、トリシェ総裁のこの日の発言は「降伏文 書」だと指摘した。同総裁は先月、中国やインドなどの新興市場が米景気減速 の影響を和らげるとの考えを示していた。

トリシェ総裁は、ECBの21人の政策委員はもはや利上げを検討してはい ないと述べた。また、新興市場がどの程度米国の減速を補えるかは「まだ分か らない」との認識を示した。総裁の発言を受けてユーロ相場は下落、欧州債は 買われた。

リーマン・ブラザーズ・インターナショナル(ロンドン)のエコノミスト、 サンドラ・ペトコフ氏は、ECBの姿勢変更は「景気の悪化が続いた場合の今 後の利下げに道を開いた」と述べた。

BNPパリバとRBSは利下げ時期予想を4月に前倒しした。ラボバン ク・グループは今年2回の利下げの予想に転じた。従来は据え置きを予想して いた。先物市場の動向も、少なくとも今年2回の利下げへの観測の高まりを示 唆している。