トリシェECB総裁:インフレ期待を抑制することが肝要-会見(2)

トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁は7 日の記者会見で、ユーロ圏の物価や経済成長の見通しについて以下のようにコ メントした。ECBは同日の定例政策委員会で政策金利を4%で据え置いた。

◎景気見通しについて

「金融市場でのリスク見直しが続いており、実体経済への全体的な影響に ついての不透明感は異例に高いままだ」

「経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は健全だが、最近の指標は 経済活動の見通しをめぐるリスクが下向きであることを示している」

「経済成長率は潜在成長率に近いが、下回っている可能性もある」

「デカップリング(非連動)論は支持したことがない。世界のある地域で 景気が上向いたり下向いたりすると、ほかの地域も影響を受ける」

◎短期金融市場について

「緊張状態が間違いなく緩和したことに非常に満足している。見る指標に もよるだろうが、非常に高い緊張状態から段階的に緩和した」

◎金融政策について

「不透明感が異例に強い今後数カ月の間、物価安定を実現するために必要 なあらゆる措置を講じていく」

「今の混乱期には新たな出来事が起こる可能性がある。新興市場が米国の 景気減速をどの程度補うかには疑問の余地がある」

「ECBの政策が予想しやすいのは良いことだ。ただ、予想できるという ことは中期的なことをあらかじめ約束するという意味ではない」

◎インフレについて

年間の物価上昇率は「今後数カ月、2%を上回り続ける可能性が非常に高 く、2008年下半期にわずかに低下する程度だ」

「2次的な影響のほか、中期的な物価上振れリスクが現実のものにならな いよう引き続き注力する」

◎外国為替市場について

「米財務長官や米連邦準備制度理事会(FRB)議長がこれまで、強いド ルが米国の利益であると言及していることを大いに歓迎する」

◎信用市場について

「ユーロ圏でローンの伸びが引き続き強いことは、銀行の信用供与が今の ところ金融市場混乱の悪影響を受けていないことを示唆している」

「マネーサプライ、M1(現金+預金)の伸びが引き続き緩やかなことは、 金融市場での金利上昇による抑制を反映している」

◎7日の政策決定について

「政策委員会は全会一致で政策金利を4%で据え置くことを決定した。利 上げあるいは利下げを要求する声はなかった」

「金利を4%で据え置くことが中期的な物価安定に結びつくとの見方でも 一致した」

「金利据え置き決定は強い信用の伸びを背景に、物価安定への中期的なリ スクが上向きであるとの判断に基づいている」

「インフレ期待を抑制することが最優先事項だ」

◎ECBの政策について

「将来の政策を事前に約束するようなことは決してしない」

「金融混乱に対処する必要に迫られた際、ECB設立当初からの概念や手 段を活用した。新たな手段を用いたわけではなく、何も変更はない」

「『警戒(vigilance)』という文言についてはコメントしない」