孫ソフバンク社長:米ヤフー決断前に意思疎通、日本法人手放さず(2)

ソフトバンクの孫正義社長は7日の決算発 表の席上、米マイクロソフト(MS)が米ヤフーに買収提案をしたことに関し て、ヤフー経営陣が最終判断を下す前に意思疎通をしたいとの考えを示した。 同時に、ソフトバンクが筆頭株主のヤフー日本法人の出資分41%については、 手放す可能性は「全くない」と述べた。

孫社長は、ヤフー経営陣とは「すでに何回か電話」したことを明らかにし、 「彼らの最終意思決定前にはコミュニケーションを図りたい」と語った。ただ 交渉は始まったばかりのため、経過を「見守りたい」と言明。やり取りの内容 などは「ノーコメント」で通した。孫社長と米ヤフーのジェリー・ヤン最高経 営責任者(CEO)は旧知の間柄。

ヤフー日本法人株式を手放さない姿勢に関連して孫社長は、無線通信の高 速化で今年から携帯電話がパソコンをしのぐ「インターネットマシン」になる との認識を基に、総合通信企業である利点を活用し「アジア最大、世界最大の ネットカンパニー」を目指す意向を強調。こうした戦略には「中国ナンバーワ ン」のネット関連企業である出資先のアリババグループ同様、「日本ナンバー ワン」の同法人が不可欠だと語った。

孫社長は、MSによる米ヤフー買収話が過去にもあった経緯から、今回の 提案も「可能性は常に頭の片隅にあった」と説明。「この時期にあの金額は、 ある意味サプライズだった」としながらも、株価下落のなかでMSは「タイミ ングを待っていたのだろう」と述べた。

1日のMSによる買収提案の後、米検索最大手のグーグルがヤフー支援を 提案したなどの報道が過熱。ソフトバンクやヤフー日本法人の株価は乱高下し ている。米ヤフーが買収対象になったことについて孫社長は、検索エンジンを グーグルに依存するなど「検索機能を過小評価したためでは」と指摘。仮にM Sが米ヤフーを買収した場合、「やり方によってはブランド価値を上げること は十分あり得る」との認識を示し、米ヤフーが戦略を「間違えないよう経営陣 に意見をしたい」とも語った。

躍進の象徴

ソフトバンクにとってヤフーは、社名の由来であるソフトウエアの卸売り や関連書籍の出版から、投資会社に飛躍する足掛かりとなった象徴的存在。 1995年11月、同4月に設立されたばかりの米ヤフーの将来性に着目して200 万ドル(約2億1000万円)を出資し株式の約5%を取得。翌96年1月には米 ヤフーとの合弁でヤフー日本法人を設立した。

当時の同法人の出資構成はソフトバンク60%、米ヤフー40%。資本金は2 億円でソフトバンクの出資額は1億2000万円だった。97年の上場を経てネッ トの急速な普及による事業拡大期待から、ヤフー日本法人の株価は2000年1 月、日本企業で初めて1株1億円を突破。孫社長は、出資先企業の時価総額極 大化による「ネット財閥の形成」を掲げた。

ヤフー以外にも

2000年初めのネットバブル崩壊後は通信業に傾斜。同年9月に格安ADS L(非対称デジタル加入者線)事業を開始し、04年7月に国内固定通信3位の 日本テレコム(当時)、06年4月には同携帯3位の英ボーダフォン日本法人 (同)を買収した。その過程で事業資金確保のためヤフー日本法人の株式を現 在の41%まで売却。40%を割ると、連結対象から外れ本体業績への貢献度合い は大きく低下する。

ヤフー以外でも昨年11月、アリババグループ傘下の企業間取引会社アリ ババ・ドット・コムが香港市場で上場。ソフトバンクは572億円の投資利益を 上げた。孫社長は同グループの他の非上場企業数社は「アリババ・ドット・コ ムよりも潜在価値が大きい」と指摘し、「5年、10年先ではなく、案外近い将 来に上場することになるのでは」と発言している。

米ヤフーの日本法人への出資比率は現在も33%と2位のまま。設立当時 5%だったソフトバンクから米ヤフーへの出資比率は現在3.9%。ヤフー日本 法人は戦略面で米ヤフーからの独立色が強い。事業環境も、グーグルに引き離 されている米国とは違い、ヤフーは日本国内で圧倒的に優勢。調査会社ネット レイティングスの昨年12月統計によると、ヤフー日本法人が運営するサイト の利用者は4257万人と、2位のグーグル日本法人の2714万人に大差を付けて いる。

ソフトバンク株価の7日終値は前日比125円(6.2%)高の2130円、ヤフ ー株は450円(1.0%)安の4万5200円。