オプションARMは「嘘つき」ローン、支払い負担が爆発的に上昇

ミネアポリスの塗装職人ジョー・リップリ ンガー氏(66)は2006年に18万4000ドル(約2000万円)の住宅ローンを組 んだ。以来、毎月返済をしているが、現在の借金は19万2000ドルに増えてい る。

同氏のローンはオプション付き変動金利型住宅ローン(オプションARM) だった。毎月の返済額565ドルは利子の1300ドルよりも少なく、差額は元本に 追加されていく仕組みだ。そして元本が21万2000ドルに達するか、5年が経 過すると、月々の最低支払い額が2800ドルに急増することになっている。リッ プリンガー氏にはとても、払うことはできない。「今だってぎりぎりなのに」 と同氏は言う。

米国では100万人がオプションARMを利用し、残高は5000億ドルと推計 される。これらの住宅保有者は、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB) 議長がどんなに利下げをしても救われない。サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローンの借り手ですら、金利切り替え時の支払い増は平均で8%以 下だが、オプションARMの月々の返済額は2倍に跳ね上がる。

USエクスプレス・モーゲージ(ラスベガス)のブローカー、ブロック・ デービス氏によれば、業者らはこれを「中性子融資」と呼ぶ。「中性子爆弾の ようだからだ。3年後に行って見ると家はまだあるが、住人はいなくなってい る」と同氏は説明した。

センター・フォー・リスポンシブル・レンディングの上級法務顧問キャス リーン・キースト氏はこのようなローンについて、「導火線の長い爆弾のよう なもの」として、「今まで消費者に提供されたなかで最も複雑な商品だ。まさ に『嘘つき』ローンだ」と話す。

頭金ゼロでも融資

業界ニュースレターのインサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、 オプションARMは06年に米国で実行された約3兆ドルの住宅ローンの8.9% を占める。UBSの1月22日付のリポートによれば、07年に住宅ローン担保証 券に組み込まれたオプションARMの20%は、融資額が担保物件価格の90%を 超え、借り手の収入証明も不要なローンだった。2%は頭金ゼロのローンだっ たという。

住宅金融大手のカントリーワイド・ファイナンシャルが保有する06年のオ プションARM債権で90日以上の延滞となっているものの割合は07年10-12 月(第4四半期)に5.7%と、前年同期の0.6%から増えていた(当局への届け 出)。

調査会社インターナショナル・ストラテジー・アンド・インベストメント・ グループのマネジングディレクター、アンドルー・ラペリエール氏は、オプシ ョンARMの借り手の85%は負債額がローンを組んだ時点よりも増えていると 見積もる。同氏は「オプションARMを30年物固定金利型ローンに借り換えて も、金利5.5%で毎月の返済額は150%増える」として、「これは厳しい」と指 摘した。

前述のリップリンガー氏のオプションARMの返済額は2011年に跳ね上が る(それまでに元本が上限の21万2000ドルを超えなければの話だが)。リッ プリンガー氏はオプションARMについて、「あれは最悪の方法だった」と悔 やんでいる。

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