東京外為:円強含み、米景気後退懸念でリスク回避-106円台前半

午前の東京外国為替市場では、円が強含み。 米非製造業景況指数が予想以上の悪化となり、米国のリセッション(景気後退) 懸念が一段と強まる中、米国株の大幅続落を受けたリスク回避志向の高まりか ら円の買い戻しが先行し、対ドルでは一時、1ドル=106円39銭(ブルームバ ーグ・データ参照、以下同じ)と3営業日ぶりの水準まで円が値を切り上げた。

HSBC為替資金本部外国為替営業部の花生浩介部長は、「先週発表され た製造業景況指数が比較的良かったので、何となく一服した感じもあったが、 今回の数字が非常に悪かったため、一気にリセッション懸念が出ている」と指 摘。「特に米株が反応しているので、投資家としてはリスクを取りにくいとの 連想から円買いに拍車がかかったということは言える」と説明する。

もっとも、「きのうも含めて対欧州通貨ではドル高になっているので、ド ル・円単体でどこまで押せるか分からない」(花生氏)ともいい、ドル・円は ドルの頭が重いながらも、すぐに106円を割り込む勢いは見られない。

一方、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、本格的な ドル危機は多くの国の格付けにマイナス材料と指摘する一方、ドル下落が緩や かで秩序立てば、米国経済にプラスになるとの見解を示している。

ISM非製造業景況指数、「景気後退期」並みに急降下

米供給管理協会(ISM)が5日発表した1月の非製造業景況指数は41.9 と、前月の54.4(修正前53.9)から急降下し、サービス業活動の拡大と縮小の 境目である50を一気に割り込んだ。1月の水準は前回の景気後退期の谷に接近 していた2001年10月以来の最低。この1カ月前には同時多発テロが発生して いた。

ISM指数の悪化を受け、米国のリセッション入り懸念から5日の米国市 場ではダウ工業株30種平均とS&P500種株価平均が2007年2月下旬以来の大 幅な下げを記録。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)がリセッション回 避のため、追加利下げに動くとの観測から米国債相場は上昇し、2年債利回り は4年ぶり低水準に近づいた。

UBS銀行東京支店外国為替部FXアドバイザーの牟田誠一朗ディレクタ ーは、「サービス業の景況感悪化ということで、消費の冷え込みが裏付けられ、 全般的に景気がさらに減速する兆候が示された」と指摘。米経済は非常に危機 的な状況になってきた感があるといい、株の大幅下落も相まって、円高に圧力 がかかりやすい展開を予想している。

先週末には1月の雇用統計が予想外の雇用の減少を示したものの、その後 発表された1月のISM製造業景況指数が予想を上回る改善となり、景気の拡 大と縮小の境目を示す50も2カ月ぶりに上回ったことが好感され、米国株は週 間ベースで5年ぶりの大幅高となっていた。

米国株安を背景に5日の海外市場ではリスクポジション圧縮の動きからク ロス取引(ドル以外の通貨と円の取引)を中心に円の買い戻しが活発となり、 円は対オーストラリア・ドルや対ニュージーランド・ドルで1月中旬以来の安 値から反発。欧州時間に一時、107円74銭と1月25日以来の円安値を付けてい たドル・円も106円台後半まで値を戻し、6日の東京市場にかけてはさらに円 の上値を試す動きとなっている。

また、ユーロ・円は欧州経済指標の悪化もあり、1ユーロ=158円台前半か らユーロが反落。東京市場にかけては一時、155円72銭と1月28日以来の水準 までユーロ安・円高が進んだが、その後はユーロの押し目買いも入り、156円台 を回復する場面も見られている。

欧州景気減速懸念でユーロ下落

ロイター通信によれば、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グ ループ(RBS)が5日発表した1月のユーロ圏サービス業景気指数(確定値) は50.6と前月の53.1から低下し、2003年7月以来の低水準となった。また、 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が発表した昨年12月のユーロ圏小 売売上高指数は、営業日調整済みの前年同月比で2%低下し、少なくとも1995 年1月以来の大幅な落ち込みとなった。

HSBCの花生氏は、欧州の経済指標が軒並み悪かったことで、市場では 欧州中央銀行(ECB)の利下げも話題に上ってきていると指摘。その上で、 7日のECBの定例理事会では利下げはないとみられるが、これまでタカ派的 なコメントを繰り返してきたトリシェ総裁が会合後の会見で「将来的な利下げ の余地を前面に出してくるとすれば、ユーロ売りに一段と拍車がかかる可能性 も考えられる」と語る。

--共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama、Norihiko Kosaka

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