JT、日清食:冷凍食品事業統合を白紙撤回-ギョーザ事件影響(7)

JTと日清食品は予定していた冷凍食品事業 の統合を解消することを決めた。JT子会社が輸入・販売していた中国製冷凍ギ ョーザの中毒事件の影響で、統合遂行が困難と判断した。白紙撤回に伴い、日清 食品はJTから加ト吉株式の49%を譲り受けて冷凍食品事業を加ト吉に移管す ることも取りやめる。

3社はこれまで、JTが加ト吉をTOB(株式公開買い付け)で全額出資子 会社にした後、株式の49%を日清食品に譲渡し冷凍食品事業を統合することで 合意していた。統合が実現すれば、売上高約2610億円と国内最大の冷凍食品会 社が誕生するはずだった。

この日の午前、日清食品の安藤宏基社長とJTの木村宏社長はそれぞれ会見 を開いた。安藤社長は、ギョーザ中毒事件後にJTに対し、加ト吉への出資比率 を予定していた49%から51%に引き上げるよう提案したことを明かし、この提 案が「受け入れられなかった」ことが統合解消のきっかけになったと説明した。 さらに、「JTと日清食品では食の安全性に対する考え方が違う。日清食品のや り方をJTに提案したが断わられた」とも述べ、JTとの間に食の安全性に対す る取り組みに相違があったことを明らかにした。

日清食品の提案を断った理由について、木村社長は「たいへんありがたい申 し出だったが、事件の当事者はJT。日清食品が比率を引き上げれば当事者が責 任を放棄することになる」と述べ、JTが責任をもって事件の真相解明や対応に 全力を尽くす考えを示した。

新生証券の松本康宏シニアアナリストは「冷凍食品事業の統合は日清食品と JTの両方にとりウィン・ウィンとなる話だったが、解消は残念だ」との見方を 示した。また、「食品事業が主体の日清食品に対して、食品が補助的な事業のJ Tでは食品事業に対する考え方に温度差があるのだろう」とも指摘した。

JT社長「顧客への対応最優先」

木村社長は会見の冒頭、「健康被害に遭われた方や関係者に深くお詫び申し 上げる」と陳謝し、「現在は顧客への対応が最優先と考えた」と強調した。業績 への影響については「具体的に言える段階にない」と述べた。さらに、事件発覚 後の対応がもっと早ければ被害拡大は防げたとの指摘もあるなかで、責任問題を 含めた自身の進退に関しては「今果たす責任は問題を解決するため陣頭指揮とる こと。その後進退は考えることであり、今は白紙」と述べた。

JTにとって、主力のたばこ事業で国内市場が縮小するなか、食品事業は生 き残るための頼みの綱。なかでも特に冷凍食品は数少ない成長市場との期待が大 きく、今回の統合も成長への一歩につながるはずだった。木村社長は「冷凍食品 事業に楽観的な見通しを持っていないが、一刻も早く原因を究明する」と述べ、 今後も飲料や調味料などを含め食品事業をたばこに続く収益の柱に育てる考えに 「変わりはない」との考えを示した。

JTは現在、昨年12月に実施したTOBで加ト吉株の93.88%を保有して おり、早期に保有比率を100%に引き上げる予定。また、日清食品は冷凍食品事 業について、持ち株会社移行に伴って同事業を子会社に事業継承することを検討、 決定次第、公表する。

中国製冷凍ギョーザ事件では、JT子会社ジェイティ(JT)フーズが同国 から輸入・販売していた冷凍食品のギョーザから農薬に使われる有機リン系殺虫 剤が検出された。この商品を食べた消費者が嘔吐(おうと)やめまいなどの重大 な健康被害に遭っており、JTが商品の回収を進めている。

JT株価は前日比9000円(1.6%)安の56万8000円、日清食品は同290円 (8.1%)安の3290円、加ト吉は同4円(0.6%)安の700円(午後1時6分現 在)。

--共同取材、白木真紀 Editor:Kenshiro Okimoto、Masashi Hinoki

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