内海元財務官:G7でドル安が議題となる可能性-声明で為替安定(2

元財務官の内海孚日本格付研究所社長はブル ームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、9日に東京で開かれる7カ国財務 相・中央銀行総裁会議(G7)で、ドル安や人民元の切り上げなど為替問題が主 要議題の1つに上る可能性を指摘した上で、共同声明に為替の安定の必要性を前 面に押し出す表現が盛り込まれるとの見通しを示した。

また、今回のG7の焦点となる米サブプライム(信用力の低い個人向け)住 宅ローン問題への対応では、同問題に端を発した金融市場の混乱と実体経済への 悪影響を回避するための協力体制を市場に示すことが重要と指摘。ただ、協調利 下げなどの具体的な対応策を打ち出すのは困難との見解を示した。インタビュー は4日行った。

内海氏は「G7は従来から経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に合 致した為替市場の安定に向けたシグナルを送り続けているが、為替の安定につい ての気持ちは各国間で相当高まっている」と述べ、為替問題が主要議題の1つと なる可能性を指摘した。その上で、「共同声明で為替相場の安定の必要性が前面 に出てくるのではないか。為替に少し警戒感をにじみ出させるのか、より強い協 力を表現するのかを注目している」と語った。

個別通貨については「欧州ではドルについての懸念は非常に高まっている」 と述べるとともに、「先進国通貨を議論するのがG7の存在意義だ」とし、ドル安 に関して議論される可能性を示唆した。一方で「今の相場でみる限り、まだそこ までいかない感じもある。どの程度の議論があるか分からない」とも述べ、共同 声明でドルに言及することはないとの見方を示した。

昨年10月に開かれた前回会合では、為替水準がファンダメンタルズを反映す るとの考え方を再確認した上で、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、 経済成長にとって望ましくない。引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力す る」と声明に明記しており、今回声明での表現ぶりが注目される。

人民元については、中国が2005年7月にドルペッグ(連動)制廃止後、対ユ ーロで約7%下落していることを指摘。その上で、「各国共通して人民元への声 は非常に強い。輸出は米国に集中していたが、欧州に相当大きな輸出の波が押し 寄せている」と述べ、今回の共同声明でも中国に対し、引き続き人民元の増価に 向けた切り上げを求めるとの見方を示した。

具体的なマクロ政策打ち出せず

内海氏は今回のG7の主要議題について「サブプライムローン問題から端を 発する金融市場の混乱と実体経済に与える影響に対してG7としてどのような体 制で臨むか。その決意を市場に発信することが1つのポイントだ」と指摘。米国 で起きたサブプライムローン問題がまず欧州で深刻化した経緯を踏まえ、各国が 情報を迅速に交換できるネットワークを強化し、協力体制をしっかり整えること を申し合わせ、市場にアピールする必要性を強調した。

具体的なマクロ政策については「各国によって事情も、とれる処方せんも違 う。具体的なことを打ち出すことは無理だ」と言明。断続的な金利引き下げに踏 み切った米国に歩調を合わせた欧州中央銀行(ECB)の追随利下げの可能性に 関し、「ECBの追随利下げはあり得ない。今、インフレ率が非常に上がってお り、そちらに神経質になっている」と否定的な見解を示した。

日本銀行による利下げ観測に対しても、「今、協調行動をとる余地はない。

0.5%から引き下げても効果もないし、ますます信頼を失墜する」と指摘。米国経 済の減速によって日本経済が調整局面に入った場合、「財政も金融もとれる処方 せんがない。引き出しに何もない」と警戒感を示した。一方で、「日本経済が回 復過程にある時に、ゼロに近い金利は低過ぎる。金利をできるだけ早く忠実に戻 さなかったことが日本最大の失態だ」と日銀の金融政策を批判した。

新興国経済のデカップルも議論

また、内海氏は米国経済の減速が鮮明になる中で、各地域の経済が米景気と の連動性を弱め、どの程度分離(デカップル)されているかも議論になるとした 上で、「昨年末までは中国、インドなどBRICSに代表される新興国経済はデ カップルできるという見方が多かったが、このところ難しいという声が強くなっ ている。声明にどのような表現で出てくるのか興味深い」と指摘した。

内海氏は「米国の経済指標が急激に悪化したのは昨年12月から。新興国の経 済に対する影響はこれからだ。米国景気が落ちてきたのを中国その他の新興国が 支えてきたという認識は違う」と述べ、デカップル理論を否定。一方で、米国経 済の見通しについては「そうガタガタとマイナス成長になることはない」と述べ、 09年まで1.5%程度の経済成長率が続くと予想した。

--共同取材:鎌田泰幸 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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