平野前日銀理事:G7で米金融不安解消へ協調-利下げ議題にならず(2

前日本銀行理事の平野英治氏はブルームバ ーグ・ニュースのインタビューに応じ、9日に東京で開かれる7カ国財務相・ 中央銀行総裁会議(G7)の主な議題について、サブプライム(信用力の低い 個人向け)住宅ローン問題に端を発した米国の金融不安の解消が、世界の金融 資本市場の安定化に向けた最も重要な課題であるとの認識を共有し、協調姿勢 を再確認するとの見解を明らかにした。一方、市場で憶測が広がっている主要 中央銀行による同時利下げに関しては、議題に上らないとの見方を示した。

為替問題についてはG7各国間で各国通貨の水準は問題視されていない とし、主要議題にはならないとの見通しを示した。インタビューは1日行った。

平野氏は「不安定な市場の環境はまだ収束していない。根底には米国のサ ブプライム住宅ローン問題の表面化に端を発する金融不安が解消されない限 り、金融から実体経済への悪影響が懸念される」と述べ、G7では各国がサブ プライム問題とその広がりをどのようにとらえ、協調していくかが主要議題に なると指摘した。

その上で、「主要中央銀行が同時に利下げをするということが政策協調で あるならば、それが議題になることはない。各国の中央銀行が直面している状 況はかなり違う。一番大事なのは問題の源泉である信用不安をどうやって取り 除くかということ。マクロ政策は調整の痛みを和らげる手段であって、問題そ のものを解決する手立てではない」と強調した。

平野氏は日銀時代に国際局長、国際担当理事を歴任した国際派。福井俊彦 日銀総裁に同行してG7に出席した経験も豊富だ。2006年6月に任期満了で理 事退任後、トヨタフィナンシャルサービス取締役を務めている。今年3月に任 期が切れる日銀副総裁の後任候補としても名前が挙がっている。

0.5%は十分緩和的-日銀は様子見しかない

米連邦準備制度理事会(FRB)はサブプライムローン問題の実体経済へ の波及を避けるため、先月22日と30日に開いた連邦公開市場委員会(FOM C)で、フェデラルファンド(FF)金利を計1.25%引き下げ年3%とする異 例の大幅利下げに踏み切った。これを受け、市場関係者の間では欧州中央銀行 (ECB)や日本銀行が追随利下げを実施するとの観測が浮上している。

平野氏は欧州経済について、米国経済の減速の影響を受け、成長率はスロ ーダウンするとしながらも、足元の経済成長は底堅く推移していると指摘。金 融政策については「インフレ圧力が3.2%となっており、ECBの物価安定の 定義(2%以下)をかなり上回っている。先行きに不安が残るとしても今は見 極めの時期ということに尽きる」と述べ、利下げに否定的な見方を示した。

日本の金融政策についても「0.5%という水準は低く、コア消費者物価が

0.8 %と実質的にはマイナスで、十分に緩和的な水準にある。しばらくはこの 水準を維持するなかで様子を見るしか選択はない」と言明。一方で、「日本経 済が再びデフレスパイラルに陥るリスクがあるという状態であれば、当然、利 下げも視野に入れておくべきだが、今はそういう状況ではない」と語った。

一方、金融不安の解消に向け、米国がとるべき対応策としては「資本」を キーワードに掲げ、当局がき損された民間金融機関の資本の処理を誘導する重 要性を強調。金融保証会社(モノライン)については、大きな損失が発生すれ ば保証している債券が一斉に格下げとなり、システミックリスクにつながりか ねないことから、「当局が必要に応じて公的資金を投入し、資本増強すること も選択肢の1つ」と述べた。

また、ブッシュ米大統領が打ち出した戻し減税を柱とする大規模な景気対 策については「それなりに需要を喚起するが、経済全体のプラスのメカニズム が回復するとは思わない」と指摘。G7では「金融不安の解消が優先順位で最 も高いという認識の共有が一番大事」と重ねて強調し、議長国の日本がバブル 崩壊後の金融危機を乗り切った経験を基に議論をリードするよう求めた。

為替は主要議題にはならず

為替の現状については「実効ベースで進んでいるドル安が米国の輸出をサ ポートしており、不均衡の是正という意味ではいい方向に進んでいる。急速に 増価してきたユーロ高は修正の動き。実効ベースで安かった円安も修正されて いる。人民元は過去2年間でみると着実に切り上げが進んでおり、さらなる緩 やかな切り上げを受け止める姿勢であることには間違いない」と説明した。

その上で、「G7で為替相場そのものについて問題視する雰囲気はない。 全体としてまずまずいい方向に動いている。今、目くじらを立てて為替を議論 しなければならないということではない」としながらも、「米国の金融資本市 場をめぐる信用不安を放置すると、本格的なドル不安につながる。金融不安を 解消することが為替の安定との関係でも重要だ」と述べた。

--共同取材 鎌田泰幸、 Editor: Masaru Aoki,Norihiko Kosaka

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