バーナンキ米FRB議長の大幅利下げ、景気刺激でドル安に歯止めか

為替取引高が世界で最も多い金融機関による と、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が先月実施した計1.25ポ イントの利下げは、2年越しのドル安に歯止めをかける見通しだ。

UBSの為替ストラテジスト、ジェフリー・ユー氏(ロンドン在勤)によ ると、外為市場では2003年以来初めて、資金調達コストより成長率見通しの比 較が取引の焦点となっている。またブルームバーグが調査する企業の中で最も 正確な為替見通しを提供する仏BNPパリバは、欧州経済が鈍化する一方で、 今回の7年ぶりの大幅な利下げは米経済成長を下支えすると指摘している。U BSとBNPの試算によると、ドルは対ユーロで今年少なくとも9%上昇する 見通し。

オッペンハイマーファンズの債券マネジャー、ロバート・ロビス氏は「わ れわれは一段のドル安を予想していない」と説明。「米金融当局の措置は長期の リセッション(景気後退)を回避してきている。今年後半には景気が回復し始 める可能性がある」との見方を示した。同氏は90億ドル(約9610億円)のポ ートフォリオで、ドル建て資産に対するユーロ建て資産の割合を減らしてきて いる。

ドルは昨年11月23日に1ユーロ=1.4967ドルと過去最安値を付けた後、

1.1%上昇して1.4802ドルとなっている。2年物ドイツ国債と同年限の米国債 の利回り格差(スプレッド)が1.3ポイントと2倍強に拡大したが、ドルは上 昇した。スプレッドが同水準となったのは直近で2002年。この年にはユーロが 対ドルで18%上昇している。

BNPパリバは2007年7-12月(下期)の為替相場予想についてブルーム バーグが調査した31社中で最も正確だった。BNPの08年末までのドル予想 は1ユーロ=1.36ドル。UBSは同1.35ドルを予想している。調査の中央値は 年末までの予想が5.4%上昇の1.40ドル、09年が6%上昇の1.32ドル。ドル は05年に12.6%上昇した後、06年に11.4%、07年に10.6%それぞれ下落して いる。

米金融当局とECB

米金融当局は9日間で2回の利上げでフェデラルファンド(FF)金利誘 導目標を3%に引き下げたが、インフレ抑制を目指す欧州中央銀行(ECB) は政策金利を7年ぶりの高水準である4%に据え置いた。ブルームバーグ・ニ ュースが調査したエコノミスト55人全員は、ECBが7日の定例政策委員会で 金利を据え置くと見込んでいる。

ユー氏は「米金融当局の積極的な利下げが米経済をてこ入れできた場合、 米国は間違いなく景気回復の面で先を行くだろう」と指摘「ECBは出遅れて いることから、ドルは復調する時期だ」と指摘した。

為替取引高が世界で最も多いドイツ銀行は今年のドル相場について8%上 昇を見込んでいる。同行はユーロ圏の今年の経済成長率を1.6%と、米国の見通 し(1.9%)を下回るとみている。09年の見通しは米国が2.6%、欧州が1.9% という。

一方、ケス・ド・デポ・エ・プラスマンの為替部門責任者、マックス・テ シエ氏(モントリオール在勤)は「われわれの見方では、米景気はさほど良く ないもようで、米経済を毎週見直すたびに悪化している」と指摘。「ドルの反発 を見込んでポートフォリオを組むのは時期尚早だ。ドルは今から1カ月間、堅 調に推移する可能性があるが、一段と下落する公算もある」と述べている。

米メリルリンチの北米エコノミスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は、 米国は「1980年以来で最悪の個人消費主導のリセッション」に突入しつつある と分析。ドルは3月末までに1ユーロ=1.57ドルまで下落し、その後年末まで に現行水準の1.48ドルに回復するとみている。

外国勢のドル資産保有

ブルームバーグの試算によれば、中東やアジアの投資家が米金融機関に注 入した資金は昨年8月以降で最大390億ドルに上る。米財務省の1月の発表に よると、昨年11月の対米証券投資の買い越し額は1499億ドルと、1年10カ月 ぶりの高水準だった。

投資家は、企業の投資が持ちこたえる見通しを示す明るい兆しがあるとみ ている。米供給管理協会(ISM)が発表した1月の製造業景況指数は上昇し た。

ヘッジファンド、FXコンセプツ(ニューヨーク)のマネーマネジャー、 スコット・エインズベリー氏は「多くの人々は、今はドルに回帰する良い契機 とみている」と指摘している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE