空港の外資規制に政府・与党内で異論-対内投資消極的と誤解懸念(3

外資などによる日本の空港・施設運営会社へ の株式投資をめぐり、国土交通省が何らかの規制を検討していることについて、 政府・与党内から異論が出ている。町村信孝官房長官は1日の記者会見で、この 議論を見守る姿勢を示し、日本への投資に消極的な国だという誤解を受けないよ うに国交省に検討してもらっていると語った。

成田国際空港株式会社や日本空港ビルデング(日空ビル)などへの株式投資 に関し、国交省は外資規制や大量保有規制を軸に、特定株主による経営支配の防 止策を検討してきた。鈴木久泰国交省航空局長は2007年12月4日、ブルームバ ーグ・ニュースのインタビューで空港関連施設の買収に懸念を表明、規制法案づ くりを進めており、08年の通常国会に関連法改正案を提出するとの見通しを明 らかにしていた。

政府の規制改革会議(議長:草刈隆郎日本郵船会長)は1日、同法案につい て、反対する見解を公表した。こうした外資規制は「外国からの投資意欲を減退 させ、日本の経済と空港の効率化にとってマイナスになる」と懸念を表明。また、 安全保障上の問題については、内外資本を区別する合理的な理由はないとしてい る。

国土交通省は、成田国際空港会社や日本空港ビルデングなど空港・施設運営 会社の運営に関する外資規制を盛り込んだ「空港整備及び航空法の一部を改正す る法律案」として今月上旬に国会に提出する予定だ。

同法案については、経済財政諮問会議でも民間議員から反対意見が出され ていた。1月17日に開催された同会議の議事要旨によれば、伊藤隆敏東大大学 院教授が、臨時議員として出席した冬柴鉄三国交相に対し、外資規制でなく、内 外無差別のオープンな手段での検討を要請。それに対し冬柴国交相は、「外資の 規制を導入することは是非とも必要だと考えている」と理解を求めている。

外資規制に反対表明-渡辺金融相

一方、渡辺喜美金融相は1日の閣議後会見で、国交省が検討している外資規 制に反対を表明。福田康夫首相が世界経済フォーラム(ダボス会議)で対日投資 促進を訴えて帰国した直後なのに、いきなり外資規制というのは「あまりにも無 謀」と強調した。国の安全保障というなら他の手段を考える必要もあると指摘、 「たとえば、空港会社に対して緊急時に国への協力を義務づける行為規制といっ た内外無差別の手段があり得るのではないか」との考えを示した。

町村官房長官はこの日の記者会見で、この議論について「両論あることは承 知している」と述べた。また、経済財政諮問会議でも民間議員から対内投資の拡 大という観点から、規制案に対して異論があったことを明らかにした。さらに、 マネーゲーム的観点から外国に買収されるのがいいのかという感情的問題のほか、 たとえば周辺事態が起きたときにうまく機能するのかといったような経済以外の 要素からの配慮もあると指摘した。

その上で、町村長官は、自民党などで議論が行われており、「現時点ではそ うした議論を見守りたいと思っている」と述べた。また、対内投資をもっと増や していくことは成長戦略の一つの柱だとし、「日本が対内投資、日本に対する投 資に消極的な国だという誤ったメッセージになっては困る」と強調。「そのへん をどう調和させていくのか。引き続き国土交通省にも考えてもらっているところ だ」と語った。

日空ビル株をめぐっては、07年5月ごろから空港関連施設に投資して収益 を上げる豪投資ファンドのマッコーリー・エアポートなどによる株の買い増しが 分かった。これに対し、日空ビル側は買収防衛策を発表。20%以上の株を取得し ようとする特定株主グループに対抗策を発動できる規定を整備した。それでもマ ッコーリーは07年10月までに日空ビルの保有株比率を19.9%まで増やしたこ とが判明している。

政府は06年3月に開催された「対日投資会議」で、対内投資残高の対GD P(国内総生産)比率を10年までに倍増の5%程度とすることを決めているが、 06年末の対GDP比率は2.5%と低水準にとどまっている。内閣府の資料による と、対内投資の割合は、対GDP比で英国が44.6%、フランスが同33.2%、ア ジアでは韓国が同8.8%に上っている。

議論戦わせ最終案を-首相

これに関連し、福田康夫首相は1日夜、「私もいろいろ思っているが、それ は難しい判断もある。日本があまり外に閉ざされた日本ということになってもま ずい、というような思いもある」と指摘。その上で、政府・与党内での意見対立 が表面化したことについて「議論を戦わせていい最終案をつくってもらいたい。 いろんな意見があって意見をお互いにどうやって調整して、最後は一つにまとめ る。まったく問題ない」と述べた。首相官邸で記者団に語った。

--共同取材:松井博司 伊藤辰雄 Editor:Kenzo Taniai

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