JT:食品事業戦略に打撃、修正迫られる可能性-中国製ギョーザ問題

子会社が輸入販売した中国製ギョーザによる 食中毒事件。M&A(企業の合併・買収)などで食品事業の強化に向け本格的に 動き始めたJTにとって大きな打撃だ。昨年末には加ト吉を買収、4月からは日 清食品と共同で3社の冷凍食品事業を統合する予定だった。その矢先の事件とな っただけに、影響の広がりによっては戦略の修正を迫られる可能性が出てきた。

まだ食中毒の発生原因が判明しておらず、今後の調査結果によって影響度も 大きく変わる可能性があるが、新生証券の宮川淳子シニアアナリストは「短期的 な業績悪化懸念は小さいものの、事業戦略の変更を迫られる可能性がある」と指 摘する。

また、今回の問題発覚は「JTのブランド力や信頼感の低下につながる可能 性もあり、これまでのような成長一辺倒の戦略を描きにくい」(宮川氏)ともみ ている。JT製品全般、中国製品のイメージ悪化は避けられず、販売への影響も 懸念されるだろう。

収益貢献が遅れる可能性も

JTは「統合への影響を最小限に抑え、計画通りに進むよう全力を尽くす」 (岩井睦雄取締役)方針だが、三菱UFJ証券の下松慈明シニアクレジットアナ リストは「今回の事件により、たばこ事業に次ぐ収益の柱として期待する食品事 業の収益貢献が遅れる可能性がある」との見方を示している。

JTの業績における食品事業の占める割合は、売上高で6%、営業利益で 2%(07年3月期実績)程度と依存度は小さい。このため、「JTグループ全体 の業績に与えるマイナス影響は限定的」(新生証券の宮川氏)だ。しかし、主力 のたばこ事業は国内市場で縮小。健康志向も高まるなかで他市場での展開もリス クが潜む。それだけに、食品事業の成長は今後JTが生き残るために欠かせない。

JTでは、少子高齢化で国内食品市場が縮小するなか、冷凍食品は数少ない 成長市場との期待が大きく、加ト吉の取り込みは食品事業の成長への一歩につな がるとしていた。JTの食品事業と日清食の冷凍食品事業、加ト吉の前期(07年 3月期)売上高実績を単純合算すると約6500億円となり、そのうち3社の冷凍食 品だけの前期売上高は2610億円。

株価午前終値は、JTが前日比1万5000円(2.7%)安の54万3000円、日 清食が同10円(0.3%)高の3560円。