【米経済コラム】2008年の金融政策、1988年の再現か-J・ベリー

米連邦公開市場委員会(FOMC)はリセ ッション(景気後退)回避を重視し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導 目標を0.5ポイント引き下げ、またしても金融市場の求めに応じた。

30日の利下げは、わずか8日前の0.75ポイントの利下げに続くもので、F F金利の誘導目標は3%と、利下げ局面が始まった昨年9月の5.25%を大きく 下回る水準となった。

FOMCは「この日の措置はこれまでの措置と合わせ、景気が時間をかけ て緩やかに成長するのを助け、経済活動へのリスク緩和に貢献する。しかしな がら、経済成長には下振れリスクが残っている」との声明を発表した。

金利先物市場はすぐさま、この声明を次回3月18日のFOMCでの追加措 置を示唆するものと受け止め、0.25ポイントや0.5ポイント、さらには0.75ポ イントもの利下げ見通しにつながった。

現実には、3月半ばまでには、多くの投資家が思っているほど米経済に問 題がないことが明らかになるかもしれない。投資家は、サブプライム(信用力 の低い個人向け)住宅ローン関連で金融機関が抱えた損失や住宅建設・販売の 急減にショックを受けているだけだ。さらなる利下げというよりも、今年は1988 年の再現となるかもしれない。当時は87年10月の株価急落を受けた景気懸念 が消えたのを受けて、インフレ抑制に向けて米金融当局は迅速な利上げを実施 した。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)のチーフエコノミスト、ミッキー・レ ビー氏は「この日の動きも含め、5カ月間でFF金利の誘導目標を2.25ポイン トも引き下げた当局の積極的な金融緩和は、ひどく傷んだ金融市場の回復過程 を加速させ、時間を置いて2008年後半には経済活動を刺激する」と予想。「金 融政策は緩和的であり、当局は『後手に回っていない』」と断言する。

住宅以外は悪くない

経済成長は減速したが、それは主に住宅バブルが破裂したためだ。その他 の経済分野はそう悪くない。企業利益でさえ、金融セクター以外は堅調だ。一 方で、インフレ率は当局が望む水準より高い。消費者物価指数(CPI)は昨 年4.1%上昇し、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は2.4%上昇 した。

インフレに関して、FOMCは30日の声明で「この先数四半期でインフレ は落ち着くと予想しているが、物価動向を慎重に注視し続ける必要があるとみ ている」とだけ言及している。

より重要な展開は、リセッション懸念には根拠がなかったことが判明する ことかもしれない。最近の経済指標はそれを示唆している。

もちろん、商務省が30日発表した07年第4四半期(10-12月)の実質国 内総生産(GDP)は前期比年率0.6%増にとどまり、7-9月期の4.9%増を 大きく下回った。それでも、減速の大きな理由は企業在庫が積み上げから処分 へ大きく振れたことであり、製品やサービスの需要低下というわけではない。 在庫調整も終わり、鉱工業生産は緩やかに上向く公算が大きい。住宅建設業界 にさえ、底打ちが近いという兆候は幾つかある。

住宅も底打ちか

新築一戸建て住宅販売は依然として減少しているが、建設がかなり落ち込 んだため、住宅在庫はピーク時の約60万戸から50万戸未満へ減った。また融 資基準は厳しくなっているものの、住宅ローン申請は増え、30年物固定金利は 約5.6%と、07年春から1ポイント以上低下している。

GDPの発表後、クリアビュー・エコノミクスのケン・メイランド社長は 「住宅が底打ちすれば、景気の足を引っ張るものがなくなり、GDP成長率を 約1.2ポイント押し上げるだろう。これが経済成長は08年下期に強まると信じ る根拠だ」と語っている。

2月1日に発表される1月の雇用統計も、リセッションのシナリオに全く そぐわない堅調な雇用拡大を示すかもしれない。給与明細書作成代行会社のオ ートマティック・データ・プロセッシング(ADP)エンプロイヤー・サービ シズが30日発表した給与名簿に基づく集計調査によると、1月の米民間部門の 雇用者数は前月比13万人増加し、アナリスト予想を上回った。

また、一部アナリストからはこれまでに、米金融当局による景気重視姿勢 を批判し、利下げを続ければ新たな資産価格バブルを生む可能性があるとの意 見が出ていた。だが、その心配は見当違いだ。景気見通しがはっきりしない限 り、バブルは発生しない公算が大きい。そして住宅関連の悪影響がなくなれば、 金融当局は再びインフレに注目し、適宜、政策金利を決定していくことだろう。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は同氏自身の見解です)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE