ファミリM:米国戦略を転換、顧客を中流層へ拡大-立て直し急ぐ

米国でコンビニエンスストア「ファミマ」を 展開しているファミリーマートは、アッパーミドル層(上位中流階層)をターゲ ットとしていた戦略を見直し、中所得者層にまで拡大する。上田準二社長が31日 までにブルームバーグ・ニュースに明らかにした。海外での積極的な店舗展開を 進めているが、順調なアジア地域に比べ米国事業は不振のため、立て直しを急ぐ。

ターゲットの拡大と同時に、不採算の既存店を移転改装し、品ぞろえを見直 す。直営店数を09年度(10年2月期)までに現在の最大4倍に増やし、フラン チャイズチェーン(FC)展開の道筋をつけ、11年度(12年2月期)の最終黒字 化を狙う。

ファミマは2005年、日本生まれのコンビニとして米国に初進出。米国ではセ ブン-イレブンなどのガソリンスタンド併設型が主流だが、ファミマは高級感の ある店作りにし、カリフォルニア州の都心部や高級住宅地などに出店を限定する 戦略を採った。しかし、上田社長は「対象顧客をあまりにも上に設定し過ぎたこ とで認知度も高まらなかった」と述べ、戦略転換を進める考えを示した。

米国事業の営業赤字は07年2月期で6億8600万円、8月中間期は4億9200 万円だった。市によって規制が異なる関係で、出店手続きに時間がかかることも あり、08年度に200店規模にまで拡大する予定だった出店ペースは大幅に鈍化。 07年11月末時点で13店舗にとどまっている。米サブプライム(信用力の低い個 人向け)住宅ローン問題の影響による米国景気後退のリスクも強まっており、戦 略修正を迫られた格好だ。

コストを半分に

1日の販売額が4000ドル(約42万円)以上の既存店舗はそのまま残すが、 それ以下は客層の拡大に合わせてロサンゼルス近郊で移転改装を進める。売り場 面積は標準店舗では当初約60坪強だったが、日本の標準とほぼ同じ40-50坪に 抑える。駐車場のスペースも多く取り、都市部が中心だった出店場所は車で立ち 寄りやすい路面店を増やす。こうした移転改装により、「コストをこれまでの半 分に抑える」(上田社長)方針。

また、これまでは日系人の取り込みも狙った「おにぎり」や「すし」などの 日本食、アッパーミドル層の好みに合わせたプレミアム商品を充実させていたが、 中所得者層に朝食としての需要が高いドーナツの種類を増やすなどして品ぞろえ を対象顧客の拡大に合わせる。

09年度には直営店を40-50店舗にし、FC展開の足がかりにする方針。F C展開は直近の計画では08年度を予定していたが、1年先送りする。米国現地法 人では16日、糸数剛一副社長が社長に、井上史郎社長が会長にそれぞれ昇格し、 新たな経営体制で戦略を推進する。

少子高齢化などで国内市場の伸びが見込めないなか、ファミリーマートはア ジアを中心に海外事業を強化。韓国ではすでに約3700店、台湾でも2200店を展 開するなど、タイ、中国も含めアジアで6500店を超える。米国も今後の有力な市 場として可能性を探っている。2年後には国内と海外の店舗数が逆転する見通し で、国内8000店、海外1万2000店の「2万店体制」を09年の計画からは先送り になるが、10年以降に実現したい考え。

新光証券の川原潤アナリストは「小売各社の出店が集中し競争が激化してい るアジアのほかにも、開拓余地のある他市場で可能性のあるビジネスモデルを探 し、種まきしておくことは必要」と述べ、「業績貢献は当分先になるが、今年1 年、戦略を見直した米国事業がうまく立ち上がり軌道に乗れるかどうか試される 大切な年になるだろう」とみている。

ファミリーマートの株価の午前終値は前日比90円(2.8%)安の3130円。

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