みずほ証の上野氏:米金融政策はベストも市場の恐怖感払しょくできず

みずほ証券チーフマーケットエコノミスト の上野泰也氏は31日朝、ブルームバーグ・ニュースとの電話インタビューで、 30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅追加利下げが決まったことに ついて、米金融政策はベストの対応だが、市場の恐怖感は払しょくできない、 との見方を示した。

米連邦準備制度理事会(FRB)は30日、FOMCを開き、フェデラルフ ァンド(FF)金利誘導目標を0.5ポイント引き下げ3.0%に設定することを決 めた。声明では、「経済成長には下振れリスクが残っている」と指摘。「必要 とあれば時宜を得た行動をとる」と追加利下げに含みを残した。

今回の大幅利下げを含めた米金融政策について:

「バーナンキFRB議長が講演で利下げを積極的にすると言及してから、 実際に9日間ほどで計1.25ポイントの大胆な利下げを行ったことになる。言行 一致での対応に市場の評価は高い。声明文でも、打ち止め観測が出ないように 適時必要な対応は行うとして、追加利下げに含みを持たせている。政策金利の 操作の範ちゅうではベストの対応をしている」

サブプライム問題に端を発した信用不安の見通しについて:

「モノライン(金融保証会社)の格下げが近いという報道で、FOMCの 追加利下げの市場への影響は、吹っ飛んでしまった。市場の問題意識は、単な る景気後退リスクでなく、金融システムが信用不安の問題で機能不全に陥って いることにある。その部分は、正攻法の金融政策で直接解決するものでないと 市場はみている。モノラインがトリプルAから格下げされた場合の、波及効果 は大きく、市場参加者は恐怖感をもって見ている。実際にモノライン大手2社 の格下げがあれば、さらに一波くると覚悟しなければならないという状況だ」

新興国の経済成長が米景気減速を補うとするデカップリング(非連動性)論に ついて:

「否定的な見方をしている。中国をはじめ、新興諸国のなかには人口増加 を背景に内需が拡大している国があるのは事実だ。ただ、中国では株と不動産 のバブルが起きており、ここ数カ月様子がおかしくなっている。中国経済も減 速は避けられないと思う。米国経済の減速を補うほど、新興諸国の経済が成長 することは期待できない。差し引きするとマイナスにならざるを得ない」

この日実施される表面利率(クーポン)の0.5%の2年債入札について:

「株価が下落している地合いなので、資金の逃避先として需要はあるだろ う。入札自体は食いつきが悪くても、セカンダリー(流通市場)で買いが入っ て、無難な結果になるのではないか」

きょうの円債相場について:

「株価をにらみながらの動きとなる。世界的に経済のリスク化に対する意 識が高まり、株価は上値が高いという見方も出ていると思う。アジア株も下げ る場面があり、日本株も下値をとらえることになるだろう。新発10年債利回り は1.4%を割り込む方向で動くとみている」

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