日本株は続落へ、米景気懸念と円高でキヤノンなど安い-金融も(2)

東京株式相場は続落する見通し。米国で 景気減速懸念が高まった上、米利下げによる円高の進行や米サブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローン関連の損失懸念から輸出関連株や金融株が安 くなりそう。中でも、業績予想が市場予想を下回ったキヤノンは下げが大きく なる可能性がある。このほか、中国製冷凍食品による影響が不安視されるJT など食品株も安くなるとみられる。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、「米国の利下げ幅は予想通り。 モノライン懸念や為替の円高などから朝方の株式市場は弱く始まるだろう」と 予測。しかし一方で、「0.5ポイントの利下げ効果はあなどれない。ボラティ リティが高い相場なので、上昇に転じる場面もありそうだ」(同氏)との見方 を示した。

またきょうは、10-12月期業績発表の前半戦のピーク日に当たる。デンソ ーや三菱商事など取引時間中の業績発表も多数予定されており、個別銘柄の選 別色が強まる展開も想定される。

シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物3月物の30日清算値は1万 3395円で、大阪証券取引所の通常取引終値(1万3420円)に比べて25円安。

米0.5ポイントの利下げ

米連邦準備制度理事会(FRB)は30日、連邦公開市場委員会(FOM C)の定例会合を開き、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ポ イント引き下げ3.0%に設定することを決めた。声明では、「必要とあれば時 宜を得た行動をとる」として、追加利下げへの含みを残した。

30日の米国株市場は利下げ発表後に米ダウ工業株30種平均が一時前日比 201ドル高まで上昇。しかし、格付け会社フィッチ・レーティングスがモノラ イン4位のファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランスの信用格付 けを引き下げたことや景気への懸念で、次第に売りが優勢となった。

新光証券USAの村上実奈子バイスプレジデントは、「0.5ポイントの利 下げはなくなはならないマストだった」とした上で、米国株市場は「財政政策 と今週末の1月雇用統計で米経済が景気後退に入っているかどうかを待ってい る状態」だと指摘している。

米国の10-12月実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値 は前期比年率0.6%増と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト の予想中央値(1.2%増)を大きく下回った。事前予想を下回った要因は在庫 投資で、7-9月期には前期比年率プラス0.9%の成長寄与であったが、10- 12月期には同マイナス1.3%と大幅マイナスに転じた。

為替は円高傾向、S&P格下げも

米国の景気懸念や日米金利差の縮小から、外国為替市場ではドル売りが膨 らみ、ドル・円相場は1ドル=106円台前半への円高傾向となっている。キヤ ノンの08年12月期の連結営業利益予想がアナリスト予想を下回るなど、米国 景気の減速が企業業績にも影響を与えていることから、輸出関連株には売りが 先行しそうだ。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は30日、米住 宅ローン担保証券(RMBS)および債務担保証券(CDO)計5340億ドル (約56兆6700億円)相当を格下げしたか、格下げ方向で見直していることを 明らかにした。サブプライム関連損失に対する不安が高まることで、銀行株に も売りが増加すると予想される。

米主要株価3指数の30日終値は、S&P500種株価指数が前日比6.49ポ イント(0.5%)安の1355.81、ダウ工業株30種平均は37.47ドル(0.3%)安 の12442.83ドル、ナスダック総合指数は9.06ポイント(0.4%)安の2349。

食品や中外薬は売りか、商社やヤフーは買い公算

個別では、食品株に売りが先行する可能性がある。JTは30日、子会社 のジェイティ(JT)フーズが中国から輸入・販売している冷凍食品のギョー ザから農薬に使われる有機リン系殺虫剤が検出されたと発表した。この商品を 食べた消費者が嘔吐やめまいなどの重大な健康被害に遭ったこともわかった。 同社は、中国の同一工場で生産している商品すべてを自主回収する。JT子会 社の加ト吉のほか、味の素、江崎グリコも中国の天洋食製品の自主回収を行う と各紙が伝えており、食品業界への影響が懸念されそう。

また、08年12月期連結営業利益が前期比53%減を見込み、メリルリンチ 日本証券などアナリストの格下げも相次ぐ中外製薬が安くなりそう。08年3月 期業績予想を引き下げた東京電力や大阪ガス、アンリツなども下落の見通し。

半面、原油高やオーストラリアでの豪雨の影響による石炭スポット価格の 上昇から、大手商社や石炭関連株は上昇が見込まれる。30日のニューヨーク原 油先物相場は米国の利下げによる景気回復期待から5日続伸し、前日比69セ ント(0.8%)高の1バレル=92.33ドルだった。

07年10-12月期連結純利益が前年同期比13%増と好調で、クレディ・ス イス証券が格上げしたヤフー、08年3月連結純利益予想を8%引き上げたホン ダ、07年4-12月受注高が前年同期比6.7%増と良好なNTTデータなどは業 績北の買いが優勢となる可能性がある。

決算発表の前半戦ピーク

きょうは四半期業績発表の前半戦でのピークで、決算発表を行う予定の企 業は222社と2月8日の238社に次ぐ2番目の多さ。個別企業では、商船三井、 川崎汽船、デンソーなどが午前11時台、三菱商事、アイシン精機、トヨタ車 体、王子製紙などが午後1時台、武田薬品工業、味の素、三井物産、東京ガス などが午後2時台。このほか、ソニー、住友金属鉱山、三菱UFJフィナンシ ャル・グループ、みずほフィナンシャルグループなども発表を予定している。

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