キヤノンの業績減速へ、リコーも下方修正-円高・世界景気変調が影

複写機世界最大手のキヤノンは30日、今 期(2008年12月期)の連結純利益が前期比6.5%増の5200億円になる見通し だと発表した。9期連続の最高益となるが、伸び率は9年間で最低となる。事 務機大手のリコーも同日、08年3月期の業績予想を下方修正しており、世界景 気の変調が日本の輸出メーカーの業績にも影を落とし始めた。

キヤノンの純利益見通しはブルームバーグ・データによるアナリスト予想 平均値5315億円を下回った。売上高は同5.3%増の4兆7200億円、営業利益 は同5.7%増の8000億円を予想している。為替想定レートは1ドル=107円、 1ユーロ=157円。キヤノンは売上高の約8割を海外向けが占め、08年は1円 の変動が営業利益に与える影響額が対ドルで99億円、1ユーロで56億円と見 込んでいる。前年比で円高による減収2160億円を見込む。

米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の影響で景 況感に陰りが出始めているなか、デジカメやプリンターなどの新製品投入効果 により増収増益を目指す。大澤正宏常務は会見で、08年は後半に世界経済も 徐々に回復するとの前提で予想を立てていると説明、「前半は厳しい状況にな るが、各国政府もこの状況を放置せず対策を打つだろう。下期は北京五輪もあ り、いろいろな意味で景気が回復する」との見通しを示した。

JPモルガン証券の森山久史シニアアナリストは第一印象と断ったうえで、 「営業利益8000億円の予想はややポジティブ。円高によるマイナス要因は 1200億円前後とみられるが、それを吸収し、競争力のあるプリンターやデジカ メなどの収益で増益を図るつもりだろう」とみている。

今期の設備投資は、事務機の消耗品需要などに対応し4400億円(前期は 4285億円)を計画。減価償却費は3750億円(同3417億円)、研究開発費は 3950億円(同3683億円)で、売上高に対する研究開発費比率は前期の8.2% から8.4%に上昇する。同比率の中期目標は10%。

第4四半期は営業減益

同時に発表した第4四半期(07年10-12月)業績では、売上高は前年同 期比3.9%増の1兆2638億円となったものの、営業利益は同1.2%減の1936 億円だった。同社は第2四半期から減価償却費の計算方法を変更しており、こ の影響を除くと営業利益は同11%増の2170億円。純利益は同1.8%増の1278 億円。

大澤常務は第4四半期の営業利益が会社計画の2099億円を達成できなか ったことについて、「サブプライムの問題がこれほど深刻化すると思っていな かった」と指摘。第4四半期で回復すると想定していた売り上げは、「ほとん どすべての製品で、グローバルベースで想定よりも数量が落ちた」という。

前期(07年12月期)の連結純利益は前の期に比べて7.2%増の4883億円 となったが、会社予想の5000億円は達成できなかった。売上高は同7.8%増の 4兆4813億円、営業利益は同7.0%増の7567億円。為替レートの実績は1ド ル=117円50銭(06年3月期は116円43銭)、1ユーロ=161円41銭(同 146円51銭)だった。

リコーは通期利益下方修正-円高と米国不振

また事務機大手のリコーは同日、通期(2008年3月期)の利益予想の下方 修正を発表した。通期の純利益予想は従来に比べ35億円減額し1135億円とし た。前期比では1.6%増で、3期連続で過去最高益となる見通しは変わらない ものの、キヤノンと同様、円高や景気減速を背景として伸び率は鈍化する。

営業利益は70億円下方修正し、前期比7.8%増の1880億円。会見した三 浦善司最高財務責任者(CFO)によると、「下方修正した70億円の半分が、 為替によるもの」という。第4四半期(08年1-3月)の為替レートの前提は、 従来の1ドル=115円から105円に修正した。

三浦CFOは、米国市場の事務機の販売状況について「予想以上にスロー ダウンしている。景気の減速傾向がかなり長引いている影響がある。顧客の買 い控えが大きく、不安心理もある」と述べた。3月中旬に公表予定の中期経営 計画は、「景気はさらに減速する可能性があり競合状況も厳しくなる、という 前提」のものになりそうだという。

キヤノン、執行役員制導入

キヤノンは同時に、4月1日から執行役員制度を導入すると発表した。業容・ 事業規模の拡大を考慮し、中長期的に業務執行体制を強化する必要があるため。執 行役員の任期は1年で、制度導入開始時に選任する執行役員は7人。今後段階的に 人数を増やす。

キヤノンの株価終値は前日比90円(1.9%)安の4690円、リコーは同1円 (0.1%)安の1706円。

--共同取材 中島三佳子  Editor:Kenzo Taniai,Yoshito Okubo

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