エルピーダ今期赤字に、東芝も苦戦で持久戦-メモリー不況が再編後押

世界の半導体業界でメモリーメーカーの業績 失速が鮮明になってきた。東芝の第3四半期(2007年10-12月)の半導体事業の 営業利益は10四半期ぶりの低水準に落ち込み、エルピーダも同期に05年7-9月 期以来の営業赤字に転落した。2000年-01年のIT(情報技術)バブル崩壊時と 同様の不況の中、業界再編をにらんだ体力勝負が激しさを増している。

東芝の営業利益の4割を占める半導体事業の営業利益は前年同期比29%減の 168億円だった。主因はNAND型フラッシュメモリーの価格下落。同メモリーは 携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ、携帯電話の記録媒体として需要が急拡大し ているが、昨秋以降の市況急落が「想定を超える」(村岡富美雄専務)ペースで進 行。標準的なNANDメモリーの容量8ギガ(ギガは10億)ビット品1個のスポ ット価格は年末までに3ドルを割り込んだ。東芝は通期の市場価格の下落幅の予想 を従来の40%から50%に修正した。

市場では、米サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題で景気が低 迷、これまで需要をけん引してきた携帯音楽プレーヤーや携帯電話の販売に悪影響 が出るとの懸念が台頭しつつある。米アップルが23日の10-12月期決算発表で慎 重な見通しを示し、株価が急落したのはその表れだ。みずほ証券の張谷幸一アナリ ストは「むしろ、来期に携帯音楽プレーヤーなどの販売が影響を受けるかどうかが ポイント」と警戒する。

「デスマッチ」

DRAM業界では、専業メーカーのエルピーダの営業損益は89億円の赤字に 転落した(前年同期は273億円の黒字)。通期の業績予想は開示していないが、 「現在の市況を前提にすれば、1-3月期の営業赤字は10-12月期よりも増え る」(坂本幸雄社長)と、1-3月期の営業赤字が100億円以上になる可能性を否 定しなかった。通期でも営業赤字となる公算だ。DRAMメーカー最大手の韓国サ ムスン電子ですら、10-12月期は半導体事業(NAND型フラッシュメモリー含 む)の営業利益が74%の減益を強いられている。

過去1年間のDRAM市場は、汎用品のスポット価格が6分の1以下になる大 暴落を経験。代表的な容量512メガビット品のスポット価格は07年1月初旬に6 ドルだったが、11月下旬には過去最低水準の1ドルを下回った。このため多くの DRAMメーカーが赤字に転落し、投資計画の削減または延期に動いている。エル ピーダも、来期(09年3月期)の設備投資計画について今期より38%少ない 「1000億円程度で検討している」(坂本社長)ことを明らかにした。

DRAM3位メーカーの独キマンダも、10-12月期はEBIT(利払税引前 利益)で5億9000万ユーロ(約929億円)の赤字を計上。このため22日、「08 年の設備投資は、従来計画比2億-2.5億ユーロ(約315億-約394億円)少ない 4-5億ユーロ(約630億-約788億円)に抑制する」と発表した。同8位の台湾 プロモスも29日午後、計画比25%減の6億ドル(約640億円)に減らすことを明 らかにした。シェア拡大を目指した投資競争が過熱した結果、各社は減産や投資計 画の先送りを余儀なくされている。

リテラ・クレア証券の井原翼理事・情報部長は「完全にデスマッチの状態だ。 エルピーダも試練のときを迎えているが、他社はもっと苦しんでいる。これからが 本当の正念場」と指摘。エルピーダの坂本社長もこうした状況を強く意識してお り、「本音を言えば、まだ市況は悪い方がいい」と言う。体力を失った会社がDR AM市場から撤退するのをじっと待つ「持久戦」が当面続きそうだ。

東芝の29日終値は前日比17円(2.4%)高の726円、エルピーダは同190円 (5.4%)高の3680円。

【07年7-9月期DRAMメーカー上位10社】
順位                    売上高(百万ドル) シェア(%)
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 1.韓国サムスン電子       2,203           27.7
 2.韓国ハイニックス       1,816           22.8
 3.独キマンダ               974           12.2
 4.エルピーダ               930           11.7
 5.米マイクロン             846           10.6
 6.台湾ナンヤ               390            4.9
 7.台湾力晶半導体           265            3.3
 8.台湾プロモス             257            3.2
 9.台湾エトロン             108            1.4
10.台湾エリート              60            0.8
その他                       96            1.4
合計                      7,334          100.0
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注)データは、DRAM市場全体(PC用、非PC用を含むトータル)の数字。
2007年7-9月期の最新のデータは集計中。
出典:アイサプライ(2007年11月)

【07年7-9月期NAND型フラッシュメモリー上位8社:(単位百万ドル)】 順位 売上高(百万ドル) シェア(%) ---------------------------------------------

1.韓国サムスン電子 1,675    40.2

2.東芝 1,132     27.2

3.韓国ハイニックス 806    19.3

4.米マイクロン 285     6.8

5.米インテル 132     3.2

6.伊仏STマイクロ 91     2.2

7.ルネサステクノロジ 46     1.1

8.独キマンダ 2     0.0 合計 4,170    100.0 --------------------------------------------- 注)出典:アイサプライ(2007年11月) *T

--共同取材 駅義則、Pavel Alpeyev Editor:Kenzo Taniai

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