榊原氏:米金利は夏までに2%台前半へ-「デカップリング論」間違い(2)

早稲田大学インド経済研究所所長で元財務 官の榊原英資氏は29日、ブルームバーグ・テレビとのインタビューで、米国経 済は深刻な状況で、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を夏ごろまで に少なくとも2%台前半まで下げる可能性がかなり高いと語った。

榊原氏は、30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では50ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01ポイント)の追加利下げが実施される可能性が高い と予想。利下げ幅が25bpにとどまった場合は「相当失望感が出る」と指摘し た。

一方、米経済が悪化しても新興国経済が世界経済を支えるとの「デカップ リング論」については、「まったくの間違い」と切り捨て、春以降には米経済 の減速の影響が中国やインドの実体経済に出てくる可能性があると指摘した。

米金融・財政策、当面効果期待できない

サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題が収束せず、米国 の景気後退入り懸念が強まる中、FRBは22日に異例の0.75ポイントの緊急 利下げを実施。ブッシュ政権も1500億ドル(約16兆円)規模の景気刺激策を 発表している。

榊原氏は、FRBの対応について「もう少し早くやっておけばよかったと いう意見もあるが、危機になってからは結構素早い」と評価した。ただ、金融・ 財政政策の効果が実体経済に表れ始めるまでには半年程度かかるため、少なく とも夏ごろまで「本格的に効いてくるということにはならない」と指摘。それ までにサブプライム問題がさらに拡大をするようなことがあれば、夏以降の景 気回復も分からないと語った。

一方、2月に東京で開かれる7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に ついては、「すでに中央銀行は去年の夏から流動性の提供などで非常に緊密に 協調している」ため、引き続き協調を継続するという「現状認識を確認しあう」 場になるとの見方を示した。

もっとも、欧州中央銀行(ECB)はインフレ懸念から「直ちに利下げに 踏み切る状況ではない」ため、米国とのスタンスには「若干ズレ」があると指 摘。今後の経済状況次第ではECBが利下げで協調する可能性もあるが、「E CBが動かない場合、ユーロがむしろ弱くなる状況、あるいは経済の減速が加 速されるという状況なので、この何カ月はECBの正念場だろう」と語った。

日銀利下げ「考えられない」―改革怠り打つ手少ない

内外景気の下振れリスクが強まる中、金融市場では日本銀行の利下げ観測 も浮上している。しかし、榊原氏は、日本銀行がこれまで金利正常化を進めて こなった結果、本来2%程度であるべき政策金利は0.5%と低いままで、ここか らの金融緩和は「事実上考えられない」と一蹴した。

榊原氏は、日銀にしても日本に打つ手はあまりないのは、金融正常化や財 政再建を怠ってきたツケであり、「小泉・竹中路線の咎(とが)が今出てきた」 と批判。その上で、「日本が今やるべきことは小手先の景気対策でない。大き な構造改革が出来るかどうかの正念場に来ている」と強調した。

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