12月の失業率は横ばい、雇用情勢はまだら模様-消費支出は増加(4)

昨年12月の完全失業率は横ばいとなる半面、 有効求人倍率は2カ月連続で求人数が求職者数を下回って1倍を割り込み、ま だら模様の雇用情勢を示す内容となった。一方、2人以上の世帯の実質消費支 出は、ガソリンや生活必需品の相次ぐ値上げによる消費者心理の悪化にもかか わらず、2カ月ぶりに増加した。

総務省が29日発表した労働力調査によると、完全失業率(季節調整済み) は前月(3.8%)から横ばいだった。男女別でみると、男性は3.9%で横ばい。 女性は3.7%と同0.1ポイントの上昇。一方、厚生労働省が発表した12月の有 効求人倍率(1人当たりの求人の割合、季節調整値)は前月の0.99倍から0.01 ポイント低下の0.98倍となった。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト44人を対象にした調査によると、 完全失業率の予測中央値は3.9%が見込まれていた。有効求人倍率は0.99倍の 予想だった。雇用情勢は、原油高などのコスト増を価格転嫁できない中小企業 を中心に悪化傾向にある。米景気減速が一段と顕在化して金融市場の混乱が長 引けば、全体の雇用情勢と個人消費に一段と悪影響を及ぼす恐れがある。

農林中金総合研究所の主任研究員、南武志氏は発表後、有効求人倍率の低 下について、昨年からの「行政サイドの指導により、水増し求人の適正化など が行われていることや、企業サイドのコスト負担増による収益圧迫が雇用意欲 を減退させていることなどが影響している可能性が高い」と指摘した。

さらに南氏は「企業は新卒予定者の求人意欲は旺盛であり、来るべき労働 力減少社会の到来に向けて、中長期的には人材確保の動きが根強い」とする一 方、「短期的には企業マインドの悪化、景気改善の主動力である海外経済の先行 き懸念などもあり、雇用環境の改善が足踏みする可能性が高い」としている。

一方、ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストは発表後のリポートで、 労働需給の緩和が雇用者数や賃金の伸びを抑制するリスクが2008年前半には控 えているが、①所得と消費はかい離した動きを続けることが可能②潤沢な家計 の金融資産が所得の低迷を相殺する③消費の長期的なアンカーは労働生産性の 伸び(トレンドは2%台前半)-と考えるため、「08年を通じて消費は大きく崩 れることなく推移すると見込む」との見方を示した。

大田弘子経済財政政策担当相は29日午前の閣議後会見で、同日発表された 雇用関係の指標を受けて、「改善は続いているが、足踏みが見られるという状況 に変化はない」と指摘。前月比で雇用者と就業者がともに減少したものの新規 求人が増加していることを踏まえれば、「大きい状況の変化はない」と語った。

発表資料によると、12月の就業者は前月比(季節調整済み)4万人、雇用者 は同23万人それぞれ減少したが、同月に受け付けた新規求人数は前月比1.3% 増の74万3908人と7カ月ぶりに増加している。

消費支出

一方、総務省が同日発表した家計調査によると、2人以上の世帯の消費支 出は35万1667円で、前年同月比では実質2.2%増となった。前月比(季節調整 済み)では実質2.3%の増加。民間エコノミスト38人を対象にしたブルームバ ーグ調査の予想中央値は前年同月比0.4%減だった。

実質増加に寄与した項目は、テレビ、パソコンなどの教養娯楽耐久財、排 水、外壁、塀などの住居修繕・維持、海外パック旅行、インターネット接続料 などの教養娯楽となる一方、減少した項目のうち灯油については、10月の買い だめ以来、買い控えの状態が続いている。大田経財相は消費支出について「堅 調な動き」としながらも、「まだ横ばい圏内との見方に変化はない」と述べた。

農中総研の南氏は、「10-12月期の実質消費支出は前期比0.8%増と3四半 期ぶりのプラスとなった」と指摘し、GDP(国内総生産)統計上では、「10- 12月期の需要サイドの民間消費は底堅いと言える」と語った。

第一生命経済研究所では、原油価格などの上昇に伴い食料などの生活必需 品の値上がりが続いた場合、個人消費の悪化を通じて年間の実質GDPを最大

1.3兆円(0.2-0.3%)程度押し下げると試算している。

スーパーや家電量販店の店長など景気の動きを肌で感じやすい職業に就い ている人を対象とした昨年12月の景気ウオッチャー(街角景気)調査によると、 ガソリン価格の上昇や年末商戦が期待外れとなり、9カ月連続で悪化した。ま た、日本百貨店協会が18日に発表した昨年12月の全国百貨店売上高は前年同 月比2.3%減の8753億円と2カ月ぶりに前年実績を下回った。

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