12月の小売販売額は前年同月比0.2%増-5カ月連続のプラス(4)

昨年12月の日本の小売業販売額は、前年同 月比0.2%の増加と5カ月連続のプラスとなった。石油製品価格の上昇で燃料小 売業の販売額が押し上げられ、全体の増加に寄与した。

経済産業省が29日発表した商業販売統計によると、12月の小売業販売額は 季節調整済みでは前月比0.8%減だった。ブルームバーグ・ニュースの調査によ ると、エコノミストの予想中央値は前年同月比が0.1%増、季節調整済み前月比 では0.7%減だった。

同省の荒井隆秀産業統計室長は統計発表後の記者説明で、前年同月比でプラ スを持続したことについて「主なプラスの要因は燃料小売業の増加と考えられ る」と説明。また、小売業販売の基調判断を3カ月連続で「持ち直しの動きが見 られる」に維持したことを明らかにした。

第一生命経済研究所の長谷山則昭副主任エコノミストは発表後のリポートで、 「燃料小売業は石油製品価格の上昇が続いているため、引き続き高い伸びとなっ ている。足元まで原油価格が高止まりしている状況を踏まえれば、しばらく燃料 小売業は前年を上回る状況が続こう」との見方を示した。

小売業販売が昨夏以来堅調に推移していることもあり、個人消費は「これま で弱いながらも何とか踏みとどまってきた」(第一生命経済研究所の新家義貴主 任エコノミスト)とみられていた。ただ、賃金が伸び悩んでいるうえ、ガソリン、 灯油や食品など身近な消費財の価格上昇から12月の消費者態度指数が4年半ぶ りの低水準に落ち込むなど、消費者マインドの悪化が続いており、今後の個人消 費への影響が懸念されている。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は発表後のリポートで、12月の小 売業販売額を全国消費者物価指数(CPI)や財価格を使って実質化すると、 「10-12月期は前期比0.4%減と3四半期連続のマイナス」になるとした。その うえで、「夏以降に強まった消費者マインドの悪化が、実際に民間消費を抑制し ているようにみえる」との見方を示した。

荒井室長も消費マインド悪化について、「大型店のヒアリングで、先行きの 不透明感についてかなり懸念しているというコメントはいただいている」と述べ た。

一方、同時に発表された2007年の小売業販売額は前年比0.1%減と、5年 ぶりのマイナスとなった。荒井室長は、自動車販売の不振と天候不順が主な要因 としている。

燃料小売業の寄与度が高い

12月は小売業販売を構成する7業種のうち5業種がプラスとなり、燃料小 売業のプラスへの寄与度が最も高かった。原油高を背景にガソリン、灯油などの 石油製品の価格が上昇したためで、「かなり価格高の影響が大きい」(荒井室 長)としている。このほか、自動車小売業や機械器具小売業などもプラスに寄与 した。

12月の大型小売店販売額は既存店ベースで前年同月比1.5%減だった。エコ ノミスト15人の予想中央値は2.0%減だった。百貨店、スーパーともに2カ月 ぶりの減少となった。百貨店は、クリアランスセール待ちの買い控えや歳暮の早 期受注の反動減が響き、スーパーは冬物衣料・寝具の動きが鈍かった。

個人消費の見通し

1-3月期の個人消費の見通しについて、モルガン・スタンレー証券の佐藤 健裕チーフエコノミストは、「名目賃金がさほど伸びないなか、原油高を背景と して消費者物価の伸びが高まるため、実質可処分所得の減少幅が拡大する」と指 摘。また、「最近の消費者心理は急速に悪化している。かかる要因から、個人消 費はパッとしない展開が続こう」と予想した。

消費者マインド悪化による消費への影響については、日本銀行でも懸念が高 まっている。25日発表の12月19、20日の金融政策決定会合の議事要旨による と、多くの委員が「石油関連製品や食料品価格の上昇などにより、最近、消費者 マインドが慎重化している」と指摘、先行きの消費を「注意してみていく必要が ある」と述べていた。

--共同取材:伊藤辰雄 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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