トヨタなど保有の虚偽記載、金融庁は対応に苦慮-課徴金導入論も(2)

電子開示システム「EDINET」に25 日夕、トヨタ自動車やソニーなど大企業6社の虚偽の大量保有報告書が提出・ 掲載された問題は、事前チェック機能のない同制度の盲点を突いたものだった。 市場の信頼が傷つき投資家離れにつながる問題だけに金融庁にとっては再発防 止策が大きな課題となるが、実際の対応は難しいものとなりそうだ。

金融庁は投資家が上場企業の株式を5%超えて保有したり、その割合が 1%以上変化した際にEDINETを通じて報告・開示するよう義務付けてい る。保有企業などは会社定款など必要な情報を添付して財務局にいったん登録 すればチェックなしで情報を掲載できる仕組みで、仮に今回のように取引終了 後の掲載でない場合には市場の混乱を招いていた可能性もある。

金融庁長官「身の毛のよだつ」

金融庁の佐藤隆文長官は17日夕の記者会見で、「迅速な公表で市場の透 明性、公正性を図るという報告の運用にとって極めて重要な問題」と指摘。早 急に検討チームを立ち上げ、実効性のある再発防止策などを取りまとめる方針 を明らかにした。長官はテラメントに対して「法令に則って厳正に対処してい く」と繰り返したが、具体的対応については言及を避けた。

今回は取得総額が20兆円を超えるなど一般の投資家も虚偽と判別しやす い報告内容だった。佐藤長官は、虚偽と見極めにくい事例が発生した場合、 「身の毛のよだつ思いだ」と述べ、現時点では有効策を持ち合わせていない実 情を認めた。報告者のテラメントからは金融庁が27日の命令で一応の期限と した28日午後5時15分までに電子的手法での訂正報告の提出はなかった。

事前の詳細審査は困難、自己責任が拡大

大和総研・制度調査部の横山淳統括次長はEDINETについて「提出さ れた情報の審査は大事」とし、投資家が閲覧できる段階までに取得や保有の事 実関係を行政側が確認する必要性を指摘する。ただ、詳細な事前審査は現実的 に難しいとして、現在の金融商品取引法の罰則基準に満たない「グレーな場合 には機動的に罰を与えることができる課徴金導入が有効」とみている。

一方で、富国生命保険の桜井祐記財務企画部長は「我々投資家が情報を二 重三重に確認をせざるを得ない」という。保有者が財務局などに報告した内容 を利用者が直接、閲覧のために現地まで出向く必要があった旧来の制度に比べ て利便性が高くなった分、投資家自身が情報をチェックする必要性も高まった と受け止めている投資家もいる。

川崎市麻生区のテラメントは25日午後4時過ぎ、トヨタ自動車、ソニー、 NTT、三菱重工、フジテレビ、アステラス製薬の6社の株式をそれぞれ51% 取得したとEDINETに登録。金融庁は27日、テラメントの報告は事実に 基づいていないなどとして28日までに訂正報告書を提出するよう求める行政 処分を下した。しかし、改善策はまだ示していない。

金融庁は大量保有報告書の虚偽記載や不提出などにも課徴金制度の罰則対 象を広げる方針を打ち出している。現在の金商法の虚偽報告の罰則は最高で懲 役5年、500万円の罰金。訂正しなければさらに懲役1年、年間100万円が加 わる。金融庁は今後、刑事告発などを検討することになる。

--共同取材:鈴木偉知郎、河元伸吾、日向貴彦 Editor:Kazu Hirano, Yoshito Okubo

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