ソシエテのケルビエル氏:7.8兆円のポジション積む-一時柔道に熱意

仏銀ソシエテ・ジェネラルによると、トレ ーダーのジェローム・ケルビエル氏(31)は会社に発見されるまでに、欧州の 株価指数先物で500億ユーロ(約7兆8000億円)相当のポジションを積み上げ ていた。ソシエテは先週、同氏のポジションを解消した。

フランス警察当局によるケルビエル氏の取り調べは3日目に入った。ケル ビエル氏は、ネットのトレーディングポジションだけチェックしてグロスの取 引高を見ないソシエテの慣行を利用し、架空のヘッジ取引によってポジション を隠ぺいしていた。同氏のもたらした損失49億ユーロは銀行業界で史上最大と なる。

ソシエテの法人・投資銀行部門のジャンピエール・ムスティエ最高経営責 任者(CEO)は27日の電話会議で「今回のことを教訓として第一に行うのは、 名目取引額を組織的にコントロールすることだ」と述べた。

ケルビエル氏のトレーディング損失は1995年に英ベアリングズを破たんさ せたニック・リーソン氏が出した14億ドルの4倍を超える。巨額損失は大手金 融機関のリスク管理についての懸念をあらためて高め、サルコジ大統領は改善 を求めた。同大統領は26日、訪問中のインドで「国際金融システムとフランス のシステムに透明性と新たな規制を導入すべき時だ」と語った。

ソシエテによると、ケルビエル氏は同行のコンピューターシステムに侵入し 電子メールを偽造していた。銀行はときに、トレーダーに休暇を取らせ隠れた ポジションがないかチェックするが、ケルビエル氏は昨年8月には4日しか休 暇を取らず、年末の休暇も延期していた。ムスティエ氏によれば、ケルビエル 氏は休暇を取らないのは個人的な事情だと説明していた。

ドイツのDAX指数とダウ・ユーロ50種株価指数を中心とした同氏のポジ ションはソシエテがこれを発見した18日時点で14億ドルの損失となっており、 同行がポジションを解消する過程でさらに35億ドルの損失が出た。

ラガルド仏財務相はソシエテの内部監視システムが機能しなかった理由 を集中して調査し、金融機関に監視強化を求めるべきかどうかを検討するとし ている。

ケルビエル氏は鉄鋼労働者と美容師の間に生まれ、フランス西部のブルタ ーニュで育った。ケルビエル氏は一時100キロの体重があったが、柔道で体重 を減らした。膝を痛めて練習ができなくなるまでに、緑帯を取得したという。 同氏に柔道を教えたフィリップ・オーロン氏はケルビエル氏を「意志の強い人 間」と形容し、「柔道には熱心で、礼儀、勇気、誠実、自制、名誉、謙譲、友 情、敬意という柔道の道徳規範を尊重していた」と述べた。

ケルビエル氏は2000年にソシエテに加わった。当初はバックオフィス業務 を担当していたが、06年にトレーダーになった。ムスティエ氏によれば、この ようなキャリアはトレーダーとして通常のものではない。ケルビエル氏の年俸 は10万ユーロ未満だった。

ソシエテによると、ケルビエル氏はポジションをロールオーバーし、不正 取引によって個人的利益を得たことはない。ドレクセル大学のジョゼフ・メー ソン教授はしかし、「銀行にダメージを与えないことは難しい」として、「業 務監視体制に穴があることが分かってしまった。合理的な顧客は、『ほかにど んな穴があるのだろう』と考えるだろう」と話した。

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