世界的なリセッション・リスクが拡大-米国の「担保劣化」の影響で

米経済はすでにリセッション(景気後退) 入りした可能性がある。他国の状況もそう変わりはないかもしれない。

合計で世界の国内総生産(GDP)の約12%を占める日本、英国、スペイ ン、シンガポールは、米国の影響を受けて景気が悪化。中国を含む新興国も、 対米輸出減少により苦戦を強いられる可能性が高い。

この結果、世界の成長率は昨年の4.7%から、エコノミストが「世界的なリ セッション」と見なす3%に近い水準へと低下する可能性がある。グリーンス パン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長も先週、バンクーバーでの講演で、 「ある時点で何らかの形の世界的景気後退が起こることは避けられない」との 認識を示した。

米国は先週、緊急利下げに踏み切った。景気の悪化が進めば、日本や英国、 ユーロ圏の中銀も追随を余儀なくされる。先物取引を基にした予想によると、 先週0.75ポイントの利下げを実施した連邦公開市場委員会(FOMC)は、29 日から始まる2日間の定例会合で最大0.5ポイントの追加利下げを実施する見 込みだ。

モルガン・スタンレーのグローバル経済担当共同責任者、リチャード・バ ーナー氏は「より大幅な世界的金融緩和が実施される可能性が高まっている」 と指摘。ゴールドマン・サックス・グループの主任エコノミスト、ジム・オニ ール氏は「景気は全域で減速している」と指摘。今年上期の成長率は、前回リ セッションに陥った2001年以来の低水準になる可能性もあるとの見方を示した。

マイナス成長でなくてもリセッション

過去の例を見ると、世界のGDPがマイナス成長になることはほとんどな く、プラス成長を維持していても「世界的なリセッション」とみなされる可能 性がある。国際通貨基金(IMF)のエコノミストらは、世界の成長率が3% 以下の場合でも十分にリセッションと呼ぶことができると指摘した。これに該 当するのは1985年以降では、90-93年、98年、2001-02年の3回だ。

世界のGDPの約21%を占める米国経済の影響は、さまざまな形で波及し ている。米国の個人消費や企業支出の減少は、対米輸入製品の需要を低下させ る。米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の崩壊により、 世界中の信用コストは拡大。欧州やアジアの銀行は数十億ドル規模の評価損計 上を強いられた。米国株の下落は他国の株式相場の足を引っ張っている。

ディシジョン・エコノミクスの主任エコノミスト、アレン・サイナイ氏は 「今後も担保の劣化が見られるだろう」と指摘。「世界的なリセッションのリス クは増大している」との見方を示した。

それでもエコノミストの間には、世界的なリセッションは現実味を帯びて きているものの実際にそうなる可能性は依然として低いとの見方も根強い。サ イナイ氏は現実化する確率を20%、グローバル・インサイトの主任エコノミス ト、ナリマン・ベーラベシュ氏は約30%としている。

米国がリセッション入りした場合に世界経済が受ける影響は、先週の世界 経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも中心的議題だった。IMFは先週、 最近の市場の混乱の影響を反映させるため、25日に予定していた最新の世界経 済見通しの発表を延期した。

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